第31話 譲れない

私たち四人は

近くのファミレスで話をすることになった


席についてドリンクバーを頼んだけど

誰も動こうとしないし

話そうとしない


涼太は栞と私の顔を睨むように見ている


最悪の空気感

それを緩めようと來未ちゃんが席を立つ


「皆さん!コーラでいいですか?」來未


緊張した声に反応し

みんな來未ちゃんを見て頷く

來未ちゃんは少し慌てたような動きで

ドリンクバーに走った


涼太は頭を抱える


「涼太・・・あの・・・」栞


栞が涼太に話しかけると

涼太は顔を上げて栞を見て


「どうなってるんの?意味が分かんねーけど」涼太


怒っているのかな?

小さな声だけどいつもより低い声で言った

來未ちゃんがウェイトレスのように

皆の前にコーラを配る

そして

涼太の横に座って下を向く


「あのね・・・」悠


私が話そうとしたら

栞は私の手を握りそれを止めて話し始めた


「ずっと悠ちゃんのことが好きだったんだ

で、やっと悠ちゃんが俺の気持ちにこたえてくれたんだ」栞


「いつから?」涼太


「俺が好きになったのは

ずっとずっとまえだよ

その時は涼太にも話したことあるよ」栞


「・・・なんか言ってたけどさ・・・マジかよ!!」涼太


涼太は深いため息と同時に

その言葉を吐いた


栞はしばらくして


「涼太・・・俺、本気なんだ

悠ちゃんの事を本気で愛してる」栞


栞はいつになく大き目な声で涼太に語り掛ける

涼太は顔を歪ませて


「無理だわ!キモイ

自分の姉が・・・しかも7歳も上の姉が

幼馴染とやってるって思ったら

吐き気がする」涼太


涼太のストレートな発言に來未ちゃんが


「そんな言い方・・・やめて」來未


間に入ろうとするけど

涼太はその來未ちゃんですら睨みつける


「本気なわけねーだろ!!

栞ってモテるし

姉ちゃんみたいなババァじゃなくたっていいわけだし

もしかしたら

子供の時は年上の女に憧れて・・・みたいなことはよくあるけど

それは・・・それはその場だけでさ・・・

俺だって高校の時にバイト先の年上の女に

”いいな~”って興奮したことは無くもなかったけど

それは妄想半分でさ・・・現実になると違うだろ!」涼太


涼太は早口で感情をそのまま話した

來未ちゃんは涙ぐんで


「涼太、お姉さんたちを困らせないで」來未


そう言って涼太の握りしめた拳を両手で覆うように包む

涼太は荒くなった呼吸を整えるように大きくため息をつく


「涼太・・・ごめん

何を言われても・・・俺は悠ちゃんの事

本気だから」栞


そう言って栞は私の手を引いて店をっ出た

涼太は呆れたような顔で私たちを見えなくなるまで睨んでいた

栞は振り返ることもしなかった


夕方

涼太からメール


”親には言えない

こんな事を聞かされたら

ただでさえ姉ちゃんの事を心配してるのに

両親、倒れる

だから

明日の栞の帰国パーティー

姉ちゃんは来ないで

俺と來未もその事にはふれないから

栞にも

お前に善意があるなら

何も言うなって言っといて”


私たちはそんなに悪いことをしているのだろうか?

皆に言うつもりなんてなかった

まだいえる状況ではなかった

だけど

涼太があんなに怒ってしまうほど

この恋は酷いものなのだろうか?

こんなに好きになった人と

両想いになれたのに


私はホテルについても

そんあ事ばかり考えていて

栞が一生懸命にさっきまでの事を忘れさせようと

色々話してくれているのに

心ここにあらず


「悠ちゃん」栞


栞はスマホを見つめて涙ぐむ私を抱きしめて


「せっかく会えたんだよ

今は俺だけを見て

俺の事だけを考えて

お願い」栞


そう言ってオデコにキスした


私は一つ涙をこぼす

不安な気持ちと罪悪感のような気持でフラフラする私

栞は私が離れていかないように強く抱きしめた



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