第9話 好きな人の家にお呼ばれされました。

「お邪魔しまーす」


「どうぞ」


 雫さんの部屋に入ると、そこにはリゾートに来たのではないか?と錯覚するぐらい、お洒落な空間が広がっていた。


 目立つのは水色で、爽やかな白や落ち着きのあるダークブラウンが味を出している。


 カーテンを開けると海が広がっていることが想像できるぐらい、南国のリゾートみたいな部屋だった。


「すごっ……」


「凄いでしょ? どうせ暮らすならこだわりたいと思ってね。 でも、こだわりすぎちゃった」


「いやいやいや、部屋って人によって雰囲気全然違いますけど、雫さんの部屋って上手く言葉にできないですけど、良い感じっすね。 俺、こういう部屋好きです」


 いや、まじでお世辞抜きで好きだわ。


 俺も将来こんな部屋に住んでみたいな。


「好きならここに一緒に住むかい?」


「またまた〜」


 一緒に住むっていう魅力的な提案は嬉しいけど、100%冗談なんだろうな。


「それは残念。 あ、荷物とかはその辺に置いて、ソファに座りなよ」


「分かりました」


 俺はソファの近くに手土産やお菓子、鞄を置く。


 ソファに座るととても気持ちの良い感触で、あまりの気持ちよさに思わず俺は感嘆の声が出てしまった。


「ふふっ。 随分お気に召したみたいだね」


「いやーヤバいっす。 雫さんの家、まじで最高っす!!」


 最初雫さんに家に来ないかと呼ばれた時はガチガチに緊張していたんだけど、こうまで俺の好きな琴線に触れられると、緊張なんて吹っ飛んで、もう興奮しちゃうよね。


「あぁ〜〜俺の理想的な部屋すぎる〜! 俺、ここのお家の子になる!」


「まったく……照君はお子ちゃまだなぁ」


 雫さんは少し呆れながら、つまみやグラスを持ってくる。 お盆の上にはノンアルコールとビール缶が置かれていた。


「さて、今日は心ゆくまで映画を見まくって、呑みまくろうじゃないか!」


「ま、俺はノンアルコールなんですけどね」


「それも立派な呑み会に相応しい飲み物さ。 さて、それじゃあ……かんぱ〜い」


「かんぱーい!」


 俺たちはグラスをカチンと鳴らし合う。


 それを確認してから、グビッと呑み始めた。

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