第13話 ゲームセンターでばったり編③

 真帆は正輝に手を振るとゲームセンターから出て行った。

 正輝は真帆を見送るとダンスゲームをしている祐希のところへと戻ることにした。



 祐希のところに戻るとまだダンスゲームの上で踊っていた。

(まだ、クリアできてないんだな。それにしても、頑張るな〜)

 一ゲームが大体四、五分。

 正輝が真帆と一緒にいた時間は大体二十分くらい。その間も踊ってたとしたら、連続で四回は踊ってることになる。

 おそらく五回目の挑戦が終わった。

 

「おつかれ」

「正輝。戻ってたのか」

「今、戻った」


 ダンスゲームの画面にスコアが表示された。

 結果はSS。残念ながら、今回もダメだったらしい。


「くそっ〜! ダメか〜」

「ドンマイ」

「悔しい〜! なんでダメなんだろう」


 祐希は悔しそうに頭をかかえた。

(何かアドバイスとかできればいいんだがな。俺には無理だしなー)


「力になれなくて悪いな」

「気にしないでくれ。俺がまだまだ未熟なだけだから」


 もう一度、挑戦するのかと思ってみていたら、祐希はダンスゲームの台から降りた。


「今日はもうやめだ」

「そうか。おつかれ」

「正輝、なんか取ってくれよ」

「いいぞ。何がいい?」

「見に行くか!」

「そうだな」


 祐希がお菓子がいいと言ったので、お菓子があるクレーンゲームのコーナーに向かった。

 スーパーとかでよく見るお菓子から、あんまり見たことのないお菓子がずらっと並んでいた。


「どれにするかな〜」

「チョコレートとかどうだ? 疲れた脳にいいだろ」

「そうだな! なら、チョコレートで頼む!」

「了解」


 ここのゲームセンターのいいところは、初心者でも二、三回すれば取れるようになってる台があるところだ。

 正輝はその台の中からチョコレートの台を選んでお金を入れる。

 初心者台は正輝には簡単なので、一回で取った。


「ほらよ」

「さんきゅ」


 正輝からチョコレートを受け取った祐希は早速その袋を開けると一つ取り出して口に入れた。


「やっぱり、疲れた脳にはチョコレートだな」

「それは、よかった」

「そろそろ、帰るか」

「そうだな」


 祐希は若干悔しそうだったが、それでも今日は満足といった感じだった。

 正輝と祐希はゲームセンターを出るとそれぞれの帰路へとついた。

(それにしても、真帆さんとばったり会うとは思わなかったな。真帆さん、もう仕事に行ったのだろうか)

 正輝が家に到着した頃には、日はすっかりと沈んでいた。




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