おバカの里 第1回

皆様、今回も友未の自主企画へのご参加、ありがとうございました。

今回の企画には、23の作品をお寄せ頂くことができました。

いえ、実は40以上の作品をお寄せ頂いていたのですが、この企画の趣旨をはっきりさせておきたいという理由から、最終的にほぼ半数に当る作品を削除させて頂かなければなりませんでした。悩みに悩みぬいた上、心を鬼にして決行いたしました。

削除させて頂いたのは、ラノベ系、ゲーム系、下ネタ系の諸作品で、つまらなかったからとか、長すぎるなどの理由からではございません。ラノベ系、ゲーム系につきましては最初からはっきりお断わりしてあったのですが、予想外だったのが下ネタ系(多くはラノベ系、ゲーム系と重なっていました)で、最初のうち、なぜかそういう感じの作品ばかりお寄せ頂く結果になり、はっきりお断りしておかなかった甘さを反省させられました。せっかくお寄せ頂いたのに削除させて頂いた皆様方には失礼を深くお詫び申し上げます。


さて、今回、友未が☆☆☆を差し上げた作品は二つだけだったのですが、何らかの理由から☆☆や☆に留めさせて頂いた作品の中にも、素晴らしいものがありましたので、幾つかご紹介させて頂きたいと思います。その他の作品の中にも、友未の目の行き届かなかった傑作たちが必ずあるはずですので、皆様方にも救出して頂ければ幸いです。


まずは☆☆☆の二作品から ―


今回の参加作品の中でも圧巻だったのが、かなたろー様の、”『秀吉豊臣のすべらない話』すべると打ち首獄門やて。” なる本格おバカ超大作!バナナの皮で過去にタイムスリップした大阪の有名アイドルグループに所属するアイドル、ソロリちゃんが、豊臣秀吉の弟、秀長の死を偲ぶ四十九日法要の後、秀吉や、落語の始祖 安楽庵 策伝や、毛利元就の三男 小早川 隆景や、石田 三成や、山名豊国と、盛大な御伽話(おとぎばなし)の催しに同席するのですが、このソロリちゃん、すれていないというか、作者のおっしゃる通り、「正直で優しい子が、如何せんおバカな」ため、危機的状況を最も理解していないという、歴史ファン、落語ファン、必読のナンセンス巻物です。まだすべての章は読破できていないのですが、はんなりした関西弁の織りなす、的外れというか、すれ違ったり、いつの間にか空中に立ち消えてしまったりするようなやり取りをいくらも読み進まないうちに、時間の歩み方が突然遅くなって行くのをはっきり感じました。ナンセンス極まりないおバカで、ドリフのコントを彷彿とさせるような場面もあるのですが、不思議に押し付けがましさや騒がしさがなく、お気が向きましたらお寛ぎ下さいというような緩んだ雰囲気が最高でした。途中にURLで挿入された音楽や絵がまた楽しく、書法や全体の組み立ても小憎らしくて、とにかく天然ソロリちゃんが素直すぎます。完全に赦された世界に繰り広げられるおとぼけ味の脱力系おバカ大作でした。友未のイチオシですので、皆様も是非。


いえ、友未好みということでしたら、柿尊慈さま(「書き損じ」さま⁉)の、「うさぎを月まで連れてって」がその上かもしれません。地球に取り残された巨大ウサギを月まで送り帰そうというお話なのですが、その方法たるや … !! こちらは、もっとドタバタでスプラスティックな突っ込みの効いた、でも、やはり頼れる文章の爆笑系大おバカでした。本人たちが大真面目っぽく描かれているので、なおさら吹き出さずにはいられません。基本的に善意と友情でお話が動いて行きますので、笑う度に心が暖められて行くのを感じます。まさに友未の求める「ヒューモア」でした。


ところが、ところが、☆ひとつなのに、上二作をさえ凌ぐ衝撃を覚えた作品があるのですから、どうして良いのかわかりません。鮭さん様の「海だったのか」です。この作品については、当初、これ以上のものはありえないというほどの、会心のレビューをお送りしていたのに、誹謗中傷と思われた善意の通報者があったらしく、削除しないとクビだぞというカクヨム様からの通告があって泣く泣く取り消さざるを得なくなるという大事件がありました。鮭さん様からは「いいね」を頂けていたのだぞ!悔しいので、ここにそのレビューを再現いたします。

レビュータイトル:取り締まり不可能なおバカです

本文:これはキッチュか、はたまた文学テロか?幼稚すぎて手出しできません。

誰がどう見ても絶賛でしょう?え、やはりお前が悪い?

☆ひとつにしたのは、世界中の読物がすべて鮭さん様ふうになってしまったら、ちょっと困るかなと怖れたからです。


友未は下ネタやスカトロジーは苦手なのですが、ご自身のタグにちゃんと「下品」とある@ginginginさまの「光春くんと僕」に、何と☆を二つも捧げさせられてしまいました。ここまで凄まじいナンセンスを下品だからと葬ってしまっては、「おバカの里」を名乗れなくなってしまいそうな気がしたからです。ちょっとSっぽいところもある笑いですが、これぞまさにナンセンスというべきおバカにあふれていて、知的でない人か、おバカでない人には書けない作品だと思いました(@ginginginさまがどちらのかたなのかは存じません)。本当は鮭さんさま同様☆ひとつにしておきたかったのですが、エピソード数が多かったのでやむをえない所です。


鮭さん様と@ginginginさまには、笑いの質と、その破壊力の点で、相通ずるものがあるような気がしました。


もう少しまともなおバカ作品では、うぱ子さまの「借金3億抱えたウーパールーパー、地味系妄想OLの部屋で暴走中!」も楽しそうです。楽し「そう」というのは、お寄せ頂いた時点で、まだ序盤の部分までしかなかったからですが、愉快な文章で、あぴ子とうぱまろというアホなネーミングからも先が期待できます。ちなみに、あぴ子は主人公の妄想系おバカ娘、うぱまろというのは借金3億抱えた巨大ウーパールーパーだそうです。大丈夫でしょうか?

さらに、もっとありそうな(いや、やっぱりありえない)身近な学園もののおバカでは、うっかり違うクラブ活動に入ったばかりに、そのまま三年間をケイ(警)ドロ(泥)に励むことなってしまった悲惨な??女子高生の姿を描く、つるよしの様の「華麗なるっ!第二陸上部」を挙げさせて頂きましょう。


ところで、今度の大阪杯はどうしましょう?グランアレグリアをどう考えるか、楽しみですが難解です、という話の通じる方は、超スーパーウルトラメガコオロギ!!さまの「ミミズダービー!」をお読み逃しなく。本命、対抗、大穴の対決の他に、場外でも駆け引きが展開されます。ちょっとギャングか詐欺師の映画っぽい雰囲気もありました。

一方、勉学に励まれる中・高生の皆様には、@hoge1e3さまの「タイムリープ・インセクツ」を強くお勧めいたしま … せん! Time flies like an arrow.「時間蠅は矢を好む」


最後に、前回「児童文学の里」に引き続きご参加くださった有難いゲストさまの作品を三つ。


森緒 源さまの「森緒くんと愉快かビミョーな仲間たち」は、唯一、実話集です。全て実際に起こった出来事だけに可笑しさ百倍でした。

前回、その耽美的な文章で友未を圧倒して下さったメグさまの「じいちゃんと遺書」。こころ暖まる作品で、友未にはおバカとは呼べません。

同様に、意外だったのがヤ子シリーズの木村恵子さま、「もぐらのそうしき」。ヤ子がおバカ?と不審を感じながら拝読させて頂いたのですが、ヤ子と仲間たちの行動があどけなさ過ぎて、拡大解釈すればおバカと呼べなくはないかも … 。ヤ子シリーズの原型ということで、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさですが、最後は寂しくなりました。


他にも楽しい作品や、気になる作品、子供に読み聞かせたい作品が山積みでしたが、今回のご紹介はここまでということで、どうかお赦しのほど。

自主企画イベントは終了後もしばらくの間は閲覧できるようですので、必要でしたら参加作品や作家さまの再確認用にご利用下さいませ(削除作品や、途中退出された作品は表示されていません)。

→  https://kakuyomu.jp/user_events/16816452218773663622


では、また皆さまとどこかでお会いできますように!





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