第3話 異世界文明と接触する?しない?
「じゃ、自己紹介も済んだし、これからの事を話そうか」
じゃれ合いの雰囲気からあっさりと切り替えて影井さんが切りだしてきたわ。この辺りが大人のコミュ力なのかしらね。それでもいつまでもこのままと言うわけにもいかないし、あたしとしてもこれからの事を話し合う事に異論はないわね。だから頷きつつあたしも同意の言葉を続けないとね。
「ええ、あたしとしても言葉遊びより生き延びるためのお話の方がいいわ」
あら?影井さんの表情が緩んだわ。あたしの言葉に何かあったかしら。
「まず大前提として、この状況で生き延びること。これが第1目標。これはいいかな?」
生き延びるなんて当たり前のことだけれど、影井さんはあたしのこと道理の分からないバカだとでも思っているのかしら。
「ふふふ、華さんは、私が生き延びることを目標としてわざわざ口にしたのかを疑問に思っていそうだね」
そりゃそうよ。誰が死ぬことを前提にするもんですか。そう思いながら頷くと影井さんは改めて説明を始めてくれた。
「うん、あまりにも当たり前の前提条件というのもね言葉にしておかないと後でおろそかになることが往々にしてあるんだ。だから言葉にしてこれは絶対ってしておくのが大事なんだよ」
ふーん、そういうものなんだ。実感は無いけど言いたい事は分かったわ。
「わかった。まず生き延びることが目標ね」
「うん、そして次の目標は元の世界に帰ることでいいかな?」
やっぱりそうよね。でも
「元の世界に戻るのは出来ればというところじゃないかしら。まったく手懸りの何もないことなんだから」
あたしが言うと、影井さんは驚いたとばかりに目を見開いてあたしを見つめてきた。そりゃそうよね。でも優先順位としてはしかたないと思うのよね。それよりもあたしとしては優先したほうがいいと思うことがあるもの。
「あのね。あたしとしては現地の文明と接触するのが先じゃないかと思うの」
まあ、文明があればではあるのだけれど。あたしの考えではほぼ間違いなく文明はあると思うのよね。ただし、王様とか教会の上の方の人と接触するのは注意が必要だと思うけど。まあ、それもそういう国とか宗教とかが成り立つところまで文明が進んでいればだけど。あら?影井さんがため息ついてるわ。あたし何か変なこと言ったかしら。
「うん、華さんが現地の文明と接触を考えるのは無理もないかもしれないけど。それは慎重にしたほうが良いと思うよ」
あら?ラノベやアニメでは文明との接触は優先事項だったけれど何か問題があるのかしら?
「文明があったとして、その文明と意思の疎通ができるかどうか分からない。なにより友好的かどうかさえ怪しいからね」
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