物語の真相②

屋敷は古くなっていて、植物園もボロボロになっていた。

扉を開き奥の部屋に向かった。

植物も枯れ果て、水すらも流れていなかった。

改めてMADAの影響は凄いなと思った。

奥の部屋の扉が開いていた。

「!?ッ…。やっぱりか。」

奥に進むと荒らされた形勢があった。

林檎の種が入った瓶が無くなっていた。

瓶の中に保管されていたので、無くなったらすぐに分かる。

「やはり…ガイは種を盗んで現世に向かったのか。」

どうにかしないと…。

それからの俺はこの世界の秩序を少しずつ変えていった。

まずはMADAに選ばれた者がガイに名前を食べられない様に名付け屋に来られる様に案内人を手配した。

だが、案内人が到着する前にガイが名前を食べて居た。

ガイはこの世界の何処かに拠点を作りそこに居るのだろうと確信した。

49日間だけ俺は名前を売った者を守れる。

代償に30年の寿命を貰っている。

その30年の命と俺の力を掛け合わし、ガイが名前を食べれない様に本名を見えない様に細工をして居た。

49日を過ぎてしまったら俺の力の効力は無くなってしまう。

欠片化した魂はガイの召喚した化け物の好物らしい。

それから白玉がこの世界に来て、ガイの奴が人間に禁忌の種を植え付け、自分の従者を作っている事を聞いた。

俺は白玉を人の形にして名前を付け自分の従者にした。

魔力は少なくなり俺の体は翡翠と真珠ぐらいになった。

白玉にガイの動きを止める様に頼み、俺の使っていた武器を渡し、現世とこちらの世界を行き来出来るだけの力を白玉に渡した。

ガイはMADAに選ばれた者の大切な人を欠片化させ、自殺をさせこちらの世界に来る様に仕組んで居るのか。

ガイは4人の従者を連れてこの世界にやって来た。

そしてその従者の右胸は欠片のハートになっていた。

禁忌の種を使い作られた人格に本当の人格を欠片化させる事が目的だったのか。

ガイが夜空達の住む住宅地に奇襲を掛けて来た。

夜空達と4人を合わせる事がガイの狙いだと確信した。

そして欠片集めをしている事を知っていて、最後の欠片をガイの従者達に埋め込み戦わせる事を仕組んだ。

これが今回の惨劇の物語の真相。


晃side


モニターが無くなり真っ白だった部屋はいつの間にかさっきまで居たリビングになっていた。

「ガイの計画は…まぁこんな感じだな。」

青藍が紅茶を啜りながら呟いた。

「つまり、俺達4人が此処に来たのも裕二達が自殺させられたのもガイが仕組んだって事か?」

百合が青藍に尋ねた。

「百合達に話した通りだ。」

「ガイは本当の愛が何なのかを知りたいじゃないかな?」

「え?」

僕の言葉に青藍は驚いた。

「あたしもそう思うわ。」

「俺もだな。」

空蛾と闇も僕と同じ意見だった。

空蛾は愛した人を救う為に死後の世界にやって来た。

ガイの気持ちも少しは分かるのだろう。

「だからこそ、僕はガイを止めるよ。」

「夜空?」

青藍の目を見て僕は話を続けた。

「ちゃんと話し合わないと駄目だと思うんだ。ガイもお姫様も青藍も、伝えたかった事を伝えた方が良いよ!!もう嫌なんだ…僕は伝えとけば良かったって思う事が。」

僕は泣きそうになったのをグッと堪えた。

星を帰してしまったあの日を僕は凄く後悔している。

あの時もっとちゃんと話をしていれば良かったって。

白玉が優しく僕の肩を叩いた。

「妾も夜空の意見と同意だ。ガイのしている事は妾は許す事は出来ない。だけど、ガイも可哀想な男だと知った今はどうにかしてやりたいとも思う。」

「白玉…。」

白玉は僕の顔を見て微笑んだ。

「だけどこれは妾と夜空、2人の意見だ。3人の意見も聞きたい。」

白玉は3人の顔を見た。

最初に口を開いたのは空蛾だった。

「あたしは…恭弥を死なせたガイを許す事は出来ないわ。でも、欠片を集めれば恭弥は助けられる。欠片を全て集めてガイに真実の愛を証明してやるわ。」

空蛾は軽く机を叩いた。

「空蛾も賛成してくれるって事で…?」

「勿論よ。2人はどうなの?」

空蛾は2人に尋ねた。

「麦を自殺させたガイの事は正直どうなっても良いって思ってた。だけど…青藍から話を聞いてアイツには相手の事をちゃんと考えろって教えてやんねぇとな。」

「闇…!!」

闇は俺を見てニヤリと笑った。

そんな光景を見て百合も口を開いた。

「ガイを止めればこれ以上MADAの被害者は増えなくなる。それにアイツには責任を取って貰わねぇとな。」

「百合…。」

「お前等、本気でガイを止めるんだな。」

青藍は僕達5人を見渡した。

僕を含めて4人は黙って頷いた。

「分かった。俺等でガイを止めるぞ。そしてお前等の大事な人も救うぞ。」

作戦の切手は配られた。

真実の愛が何なのか。

どちらの愛が正しいかを証明する為にー。


     

     第五章 完

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