Ⅳ 殺し屋に

『作戦bに切り替えてください。

起きていると考えられるで見つかる前に早く殺してください。』


とてつもなく焦っている。

どうすればいいんだ…


すると


「ドタッドタッ」


階段から人が降りてくる音が聞こえる。

どんどん近づいてきてるのがわかる。


僕はなにも考えられなくなっていた。

どうすれば良いのかわからない。


何もできずに立ちすくんでいると


『早く向かって殺してください。』


リリカから耳元に連絡が届く。

その瞬間、顔を上げると目の前に朝倉議員がいて


「誰だ、お前は」

「おい、なんだそのナイフは何処かからの刺客か」


そう言って、僕の顔面目掛けて殴りかかってきた。


思わず手元のナイフで…


「スパッ、」


僕は初めてこの手を汚ししてしまった。

興奮と罪悪感と背徳感と様々な感情が湧き出てきた。 


すると、汗と涙が止まらなくなって体全身が痒くなった。


何秒ぐらいだろうか


10秒ぐらい何も考えず突っ立ていた。


ぼうっとしながら

胸に突き刺さったナイフを取ろうとすると


『よくやったわ。

 ナイフは刺しっぱなしにして逃げて来なさい。』


あ、


リリカの声が聞こえたことで我に帰った。

僕は人を殺したんだ。


そこから、何も考えずにいたが体は動いており

その家を出てリリカと待ち合わせの場所まで向かった。


顔を上げるとリリカが待っていた。


『よく殺りましたね。』

『作戦は成功です。アジトに戻りましょう。』


僕は人を殺してしまったという衝撃で返事もできなかった。


そこから、車に乗りアジトに向かった。



僕があまりにも何を言わないのを見てか、

車の中でリリカが話しかけてきた。


『私も人を最初に殺した時は、3日間寝込みました。』

『体がずっと震えて、吐き気がしていました。』

『でも、人間の体っていうのはよくできてますね

3日後には元気になっていって、そのまた2日後には人を殺していました。』


「…」


僕には答える気力もなかった。


『大丈夫ですよ。人を殺すのは慣れていきます。』


僕はゾッとした。

リリカの言動にというより自分のやったことに対してだ。


人を殺す前までは人を殺すのは有り得ないと思っていたし、殺し屋なんてイカれてると。

けれど、今僕は何も恨みのない人を殺してしまったし

これがだんだんと慣れていくなんて…


そういって沈黙が続いていると

いきなり強い口調でリリカが言ってきた。


『もう、覚悟してください。』


突然なんだ、僕は人を殺したんだ。


『あなたは依頼を受けて人を殺しました。

立派な殺し屋です。もう、世間には顔を出せないし真っ当な人間としては生きていけません。』


『殺し屋になったということを自覚してください。』


なんだろう、意識していなかったリリカの敬語口調が今急に心に刺さった。


たしかに、そうだ。

僕は僕と関係ない人を殺してしまったんだ。

殺し屋と同じことをしてしまった。


何も考えられず

車の窓によっかかりボーっしていると

ここまでの緊張の糸が解けたように僕は寝た。



『起きてください』


リリカからの声が聞こえてきて僕は目を開けた。

目をこすって周りを見てみると

そこは車ではなくベッドの上だった。


なんでだろう


そう思い、立ち上がってリリカとともにドアを開けると階段があり下に人の気配を感じたので下っていった。


「コン、コン、コン、コン」


勢いよく階段を下り切ったら、

殺し屋のチームの人達が僕が起きるのを待っていたように立っていた。


するとキャップが


「お前人を殺したらしいな」


笑いながら言った。


「認めよう、お前もこのチームの一員にいれてやろう」


??!

いきなりで僕は驚いた。


「これからは〈リュンヌ〉の一員として働いてもらう。」


これを聞きパラパラと周りのメンバーが拍手をし始めた。

どうやら僕は殺し屋チームリュンヌの一員になるらしい。


周りをみてみると

メンバーの中では笑顔の人がいたり、快く思っていないのか不満そうな顔の人もいる。


僕の返事の有無に関係なくリリカが〈リュンヌ〉について説明し始めた。


『我々リュンヌは殺し屋のチームであり、キャップを中心に10人て活動しています。』

『あなたは11人目のメンバーになります。』


それを聞きハッと我にかえった。

僕は殺し屋になったのか。

ついに実感した。


人を初めて殺してから数時間、頭もボーっとしており考えられずいた。


僕は殺し屋になってしまった。


そう僕が考えているのに関係なくリリカは


『それで、リュンヌはですね‥』


そういって一方的に説明が始まりだんだんリュンヌについてわかってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る