Ⅱ 殺し屋になるには

なんでこんなことになったんだろう


なぜか殺し屋になってしまった僕…


すると、さっきからキャップと呼ばれている人が


『俺らは今から外にでる

殺し屋についてリリカに聞いとけ

おい、いくぞお前ら』

「オッケー」

「了解」


「カチャ、ガチャ」


少しうるさめな音で鍵が閉まり、藤野さん以外は外に出て行ってしまった。

次の殺し屋の仕事でもしに行ったのだろうか。

僕は藤野さんと二人きりになって少し気まづい。


すると


「康輝君、殺し屋について説明するね」


どうやら藤野さんの本当の名前がリリカらしい。

僕が返事もする間もなく


「殺し屋というのはね…」


説明をし始めた。

この説明を聞いて殺し屋について少しわかってきた。


殺し屋というのは依頼者に依頼を受けて人を殺す職業らしく、

私情では殺さず依頼が来て殺して報酬を受けとる生業らしい。

たまに、殺し以外の防衛や探偵の依頼が来たりだとか。


もちろん、殺し屋は警察や自衛隊から犯罪者対象を受けているが

警察のトップや自衛隊のトップに立っている人は殺し屋を使って権力者を殺し

今の立場にあるため、殺し屋にお世話になっているし

自分が殺されないために殺し屋をつかうため

殺し屋がなくならないのだという。


僕は愕然とした。

殺しという行為は悪いことなのに、消すことのできない現状に。


そう思っていると、リリカが両親を殺ったことが急に憎くなってきた。


あーそうだ、コイツが俺の両親を殺したんだ

今ならいける、コイツ女一人なら

殴って気絶させて外にでて逃げよう。


立ち上がり殴ろうとした瞬間


「バンッ」


殴ろうした手を蹴って


「舐めないでください」


そう言って右ポケットから拳銃を取り出した。


おい、ここ日本だぞ、、

なんで拳銃なんてあるんだよ。


拳銃にびびって立ちすくんでいると

リリカは僕の後ろに回ってきて手刀で


「パッ」


一瞬気を失った。


「次やったら目ん玉ほじくります。」


無理だ…



圧倒的な技術の差に、僕はもうこの人に敵わないことを悟り

話を聞くことにした。



そこからリリカによる殺し屋になるための授業が始まった。


殺し屋に必要な技能についてだ。

殺し屋に必要な技能はいくつもあるらしい。


まず一つ目が対人戦技能である。

殺し屋というのは相手に気づかれず暗殺する職業で、一見対人戦に必要は無さそうだが、

必ず必要なのが対人戦技術である。

たしかに、暗殺する時に対人戦技術は必要ではない

しかし、もし暗殺対象に暗殺を気付かれてしまったとき戦闘が起きる。

その時1対1で勝たなければいけないのだ。

対人戦技術は99%使わないが1%のために学ばなければならない技能らしい。

また殺し屋需要が高まっているので、今世の中には殺し屋が増えている。

そのため殺し屋を殺してくれという依頼が殺し屋に

殺し屋同士の戦闘も少なくなく、対人戦は殺し屋にとって必須の技能なのだ。


次にコミュ力である。

リリカが藤野さんとして家政婦としてうちに侵入した様に、暗殺するまでの準備が必要である。

準備する際、ターゲットと友好的な関係になればなるほど暗殺の成功率があがる。

ターゲットの警戒が薄れていくからである。


他にもハッキングする技術やハニートラップ、心理学による洗脳、拳銃のたまを当てるスナイプなど様々な技能が必要となってくる。


僕は一通り殺し屋の必要な技能について学んだ。


意外と面白い…


最初は馬鹿馬鹿しいと思い聞いていたが、奥が深く面白いと思ってしまった。


脳内で技能を使った殺人のシュミレーションが浮かんできた。

僕には本当に殺しの才能があるのかも知れない。



「さぁ立ってください」

「ナイフを持って」


いきなりリリカが僕にナイフを渡してきた。


いったい何をするんだ…


「今からあなたはナイフの訓練をします」


何だ、急に…

最初はやりたくないと思ったが

先ほどの授業も面白かったし、少しはやってみよう


僕はナイフを右手で持った。

すると急に


「ナイフの持ち方が違います。ナイフは殺る時は物を切る時と上下逆に持つのです。」

「切れる方を上にすることで殺傷能力があがるのです。」


そうなのか…


「ナイフで人を殺す時どこを狙えば一撃で仕留められるか知っていますか?」


僕は咄嗟に


「心臓がある胸と首」


と答えた。


「それもそうですがそれだけじゃありません。例えば、腹部。これも腹部大動脈にダメージが与えられれば即死です。

他にも足の付け根や脇の下からでもほぼほぼ即死です。」


「ナイフ暗殺一つだけでも様々な知識とこんだけの技能が必要なのです。」


僕は正直面白いと思ってしまった。

最初嫌悪感があった暗殺業だが、知れば知るほど知識や技術が求められている感じに興奮している自分がいた。



「なら、この依頼行きましょう」


ナイフの練習が一段落つき、休憩している時急にリリカが言った。


「武蔵市の市議会議員に殺人依頼が来ています。。暗殺ランクは下の上です。」

「行きましょう、あなたが暗殺するのです。」


??!

何を言ってるんだこの人は

僕が今から人を殺しに行く?

どういうことだ


「ナイフ技能も一般レベルのところまで学ぶことができました。あとは実践あるのみです。」


怖い怖い。

人を殺すなんてできない。


「嫌だ、人なんて殺せるものか」


僕は答えた。

すると


「行くだけ行きましょう。」

「暗殺は私がサポートします。」

「あなたが殺せなかったら、私が暗殺します。」


嫌だ行くわけない


「行かない…」


すると、リリカは呆れた顔で


「あなたが暗殺しなくても、どうせこの人は私に殺されるです。」

「行くだけ行きましょう。」


どうせ、死ぬなんて言い方が酷いが確かにリリカの言っていることは理に叶っている。

もう死ぬことが決まってるのか


取り敢えずここから逃げたい。

行くだけ行ってそこで逃げよう。


「わかった。行って暗殺しよう。」


この一言で僕とリリカは暗殺に行くことが決まった。


今思えば

この一言さえ言わなければ人を殺すことを生業としないで済んだのに。










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