アタック・ザ・マーシアンズ

砂山鉄史

0.


 大好きなじーちゃんを殺したのは火星人かもしれないし、そうじゃないかもしれない。今となってはよく分からない部分の方が大きい。それでも、はっきり覚えてるのは、病院のベッドで眠るじーちゃんの傍にたたずむ黒い影。そいつが、じーちゃんから人工呼吸器を外す瞬間を僕は確かにこの目で見た。

 生前、じーちゃんは僕に向かって繰り返し言った。地球は火星人に狙われている、と。宇宙からやってきた侵略者インベーダーの陰謀に勘づいた自分は、いつかきっと消されるだろう、と。

 気が付くと、僕は影を見失っていた。ベッドのじーちゃんに駆け寄ろうとしたそのとき、大きな手が僕の肩に置かれた。とーさんの手だった。


 僕が見失ったあの黒い影は、もう故郷である火星に帰還したかもしれないし、まだ地球に残って侵略行為を続けているかもしれない。


 あれから、七年の月日が流れた。大好きなじーちゃんを殺した犯人はまだ捕まってない。

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