第24話 お姉ちゃんはぁっ! ドスケベじゃ! なぁぁぁ~~~~~~~~いっ!
『――兄妹同士でイチャイチャしてるとこすんませーんっ!』
と、そこで浴室の磨りガラスにベッタリと張り付いている夕姉の存在に気付く。思いっきりこっちを見ていた。
「うわ夕姉っ!? な、なんだよ怖っ!」
「お、お姉ちゃん……!」
『新しい入浴剤どんなカンジか聞きに来たんですけどー? それスポンサー会社の社長さんに貰ったヤツだからさー、感想言わなきゃいけないんだけどー?』
「ん? ああそういうことか。良い感じだぞ」
「や、夜雨も、好きだよっ。良い匂いがして、つるつる、気持ちいいからっ」
『わかったさんきゅー伝えとくー! てゆーか――あたしも一緒に入っちゃおかなー!』
「「えっ!?」」
俺たちが驚いた瞬間にはもうガラス戸を開けていた夕姉。
俺は思わず目をそらし――かけたのだが、そこで夕姉がバスタオルを巻いていたことに気付いてホッとなる。しかし夕姉はそんな俺の動揺を見逃さなかった。
「ああ~! 弟くん今めっちゃびびったでしょ? んふふっ、お姉ちゃんが裸で入ってきちゃうーって興奮したんでしょー! なに想像してんのよこのえっち!」
「こ、興奮はしとらんわ! 単純に驚いただけだっての!」
「ホントぉ~? ま、いいや。じゃ、お姉ちゃんの背中も洗ってもらおっかな? いいでしょ弟くん?」
「いいわけないだろがいっ! つーか入ってくんなって! 男子高校生の弟と一緒に風呂に入る女子高校生がいるか!」
「世の中には女子高校生の娘と風呂に入るパパだっているじゃん!」
「ぐっ!」さっき自分で言っただけに痛いとこ突かれたぜくそ!
夕姉はジト目で俺たちを見て、腰に手を当てながらむすっとして言う。
「てゆーかさ、そもそもなんでよるちゃんとは普通にお互い裸で入れるワケ? それおかしくないっ? フツーに間違い起きておかしくない状況じゃない!?」
「フン、愚かな……。俺が夜雨にそんな邪な感情を抱くと思ったか? 夜雨は俺の天使だぞ。可愛い妹を慈しみ愛でることに何の問題があろうか!」
「なんでいきなり中二病キャラになって妹自慢してんのキモッ! じゃあお姉ちゃんにも同じように接するべきじゃん!?」
「夕姉と夜雨は違うから」
「キリッとした真顔で返すなー! あーもう腹立った! お姉ちゃん意地でも一緒に入る!」
「ちょ! いやだからやめろって!」
「お、おね、お姉ちゃん……っ」
暴走する義姉を止めようと、思わずざばぁと浴槽で立ち上がってしまった俺。
夕姉と夜雨の視線が、俺の一部に集中する。
「――あ。すまん!」
慌てて前を隠す俺。夜雨は既に両手で顔を塞いでいたが、指の隙間からちらちらと俺を見ている。夜雨も大人になったもんだな……。
一方、夕姉はグングンと紅潮していき――
「し、し、しっ、姉妹になんてもの見せるのよ弟くんのバカぁ~~~~!」
「夕姉が強引に入ってこようとするからじゃんか!」
「うるさいようるさいよ! お姉ちゃんの前でそんなのぶらぶらさせて! エッチ! スケベ! ドスケベマシンザリチャージ!」
「なんでそこでシールド回復のネタ挟んでくんの!? つか強引に入ってくる方がドスケベなのでは!? や、夜雨も止めてくれ~!」
「へ? あ、う、ううううんっ! ゆ、夕お姉ちゃんっ、お、おち、おちついて……」
「お姉ちゃんはドスケベじゃな~いっ! たまには弟くんと裸の付き合いしてもいいかなって思っただけで! よるちゃんが羨ましいわけじゃなくって! だから――!」
そこで。
あまりに暴れたせいなのか、夕姉のバスタオルがハラリと落ちてしまった。
『――あ』
俺たちの声が揃う。
……あのさぁ。
普通、こういうときって下に水着とか着てて「やーいだまされた~♥」って茶化すものなんじゃないの? 俺が今まで見てきたラブコメのえっちなお姉ちゃんだいたいそんな感じだったよ? いやちょっと過激な漫画とかアニメではこういうのあったけどさ。でもこれは現実だから都合良く髪の毛やカメラワークや謎の光で大事なとこが隠れないんだよ。全部見えちゃったんだよ。さすがに俺も動揺してます平静を保てませんこちとら思春期全開男子やぞいくら義理の姉でもさぁ!
すると、既に顔中真っ赤な全裸の夕姉はぷるぷると震えだし涙目で俺を睨んだ。
「お姉ちゃんはぁっ! ドスケベじゃ! なぁぁぁ~~~~~~~~いっ!」
「ぶげっ!?」
突き飛ばされて浴槽に沈む俺。しぶきの音と共に夜雨が短い悲鳴を上げたのが聞こえた。
「――ぶはぁっ!」と湯船から顔を出す。夕姉は洗い場にぺたんと座り込んでえんえん泣いていた。
「うわぁ~~~~んはじめて弟くんに全部みられたぁ~~~~! 違うもんお姉ちゃんドスケベじゃないもん~~~! 弟くんがドスケベなんだもぉ~~~~~ん!」
ご近所に聞こえるような声で聞こえてほしくないことを叫び泣き出す全裸の我が姉。
その声を聞いてか、様子を見に来たらしいまひるさんが入り口で「あらあら~」と微笑ましくつぶやく。
「うふふっ、美空家の
頼みますからマジでやめてください! ていうかどうすんだよこの状況ぉ!
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