第7話 美鈴

 仕事から帰ってきた美鈴は直ぐ手を洗い、うがいをした。部屋着に着替え、夕飯の準備をする。

「今日は気分がいいから晩酌しちゃお♪」

 鼻歌を歌いながら冷蔵庫を開け、水茹でされた蓮根スライスを袋から取り出して食べやすい大きさに切り、茹でて食べやすい大きさに切った人参と一緒にボウルの中に入れた。マヨネーズとはちみつ、醤油、すりごまを加えて和える。

 鶏むね肉を瓶底で平たくつぶし、にんにくと生姜、醤油とはちみつ、酒で味付けして片栗粉を付けて豪快に揚げる。

 いちょう切りに切った大根人参、食べやすい大きさに切った厚揚げが入った味噌汁には青ネギを散らした。

「かんせーい!おうち居酒屋、たまらん♪」

 全ての料理をそれぞれ器に盛り、机に並べた。そしてよく冷えたレモン酎ハイの封を開ける。

(ごくごく…。)

「ぷはー!さて、ご機嫌な今日もイケボに癒されよう♪」

 そう言ってパソコンを開きヘッドホンを耳にかける。今日に限らず美鈴はいつも帰ってくるとご飯を食べながらイケボの動画を楽しみ、入浴しながらスマホでイケボの動画を見て、就寝前は布団に入りながらイケボだらけの乙女ゲームをして過ごすのだ。

(ザクザク…。)

「…唐揚げの音がでかくて声が聞こえない!」

 そして根菜のごまマヨ和えもザクザク言って耳がうるさい…。普通に美味しいメニューではあるが、声を聴くためのメニューとしては失敗だった。

「まぁいっか。山下さんの生ボイス聴けたし…♪」

 食べ終えた美鈴はまた鼻歌を歌いながら食器を洗い、シャワーへ向かった。

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