Warning!

魔王城、二人きりの暗黒会議!

 魔王城。薄暗い暗黒会議室にうごめく、二つの影。

 一人は、純白の軽鎧けいがいをまとった青年。勇者、パスティーシュ。

 そしてもう一人は――サメ頭の男ッ!


「シャシャシャ……おい、シャコナイトの奴もやられちまったみたいじゃねぇか」


 頬まで裂けた口から漏れる笑い声――口内からは太く鋭い牙が覗く! 底知れない漆黒を湛えた黒真珠のような瞳や、背中から生える鋭いヒレ! まるで半魚人を思わせる風貌ふうぼう! し、しかもなんと――彼の手首から先は、サメの頭部と化しているではないか!? 即ち、両腕がサメの男ッ! 頭部を含めれば、実に三つものサメ頭を有する男である! 恐怖! まさに地獄の番犬、ケルベロスを彷彿ほうふつとさせるが如く!


「さすが、魔王十壊衆まおうじゅっかいしゅうの中でも屈指の隠密機動力を誇る男。これから招集をかけようと思っていましたが――すでにご存じだったとは」


「シャシャシャ。まァ大したことじゃねぇよ。俺の能力さえあればな――つーわけだ、今度は俺に行かせてもらうぜ」


「随分と強気ですね。……なにか勝算でも?」


「まァな。実は俺ァ、シャコナイトがあの女とやり合うところを見てたんだよ。最初から、ずっとな」


「ほう……ならば、彼女の弱点でもつかみましたか?」


「そりゃねェな。あの女、ハッキリ言ってめちゃくちゃヤバイぜ。少なくとも戦闘力という一点にだけ着目すれば、十壊衆じゅっかいしゅうさえ凌駕りょうがしかねん。バケモンだぜ、実際よ」


「……それほどまでに、ですか」


「それほどまでに、だよ。まともにやりあって勝ち目があるのは、アンタとぬえのジジイくらいか――まァ、おまけでオリジンの旦那も入れといてやるよ。いずれ三席以下じゃ話にならねェ。もちろん、この俺も含めてな」


「なら――」


「まァそう結論を急くな。あくまで、


 半魚人の男は、シャッシャッシャッと笑い声をあげる!


「確かに、あの女そのものに弱点らしい弱点はねェ。だが――大層大事なガキを連れているみたいだぜ? シャシャシャ……となれば、ここは俺が適任だろうがよ」


「……なるほど。“神出鬼没”の本領発揮というわけですか」


「そういうことだ。まァ――楽しみに待っててくれや」


 半魚人の男はそう言い残して、魔王城の床へと潜航! 音もなく、ただ、背ビレだけ残して姿を消す!


「シャシャシャ……! 魔王十壊衆が第八席、“神出鬼没のケルベロトゥース”! 俺様が出てきたからにゃあ年貢のおサメ時だぜ酒女ァァァァァァァ!!! シャッハハハハハハハ!!」

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