第3話 太陽が地球に衝突する!?

 中央付近に突出して高い建物が集中しているコマ状の宇宙都市が暴走した。


その宇宙都市は核融合エネルギーを動力源としていた。


世界中の国々が宇宙開発をよりスピーディーに進めるべく費用を出し合い、宇宙宮殿を建設した。


お城のような宇宙宮殿は世界中の注目を集めた。


宇宙宮殿は観光の面で大きく貢献した。


宇宙宮殿はレジャー施設やレストラン等といったものが充実していた。


そのため、宇宙宮殿はテーマパークのようなものだった。


さらに、宇宙宮殿は月や火星に行くための各宇宙ステーションを補助する役割も果たし、宇宙船の停泊や補給を遂行する役割も果たしていた。


宇宙宮殿は全人類の期待を集めていた。


しかし、その宮殿はある日、突然、暴走し、徐々に崩壊していった。


宇宙宮殿を管理していたコンピューターが原因不明の故障を起こしてしまった。


宇宙宮殿は制御を失い、暴走した。


人類の宮殿は秩序を失った。


各国政府は真相の解明へと動き出した。


なぜ、宇宙宮殿が暴走を起こしたかが解った。


それは人類によるものだった。


世界各国が気象制御衛星を軍事利用するために秘密裏に実験を行っていたせいで地球の気象が人類に対して、猛反発を起こした。


気象の暴走が宇宙宮殿のコンピューターに飛び火してしまった。


地球上で暴れていた気象に対し、人類はどうすることも出来ず、地下に避難していた。


それでも、世界各国はなかなか気象制御衛星による軍事実験を止めようとはしなかった。


フランスの呼びかけでどうにか話がまとまり、気象制御衛星の力を少し借りて、気象が自分の力で自分を落ち着かせるのを待った。


気象は少しずつだが、確実に落ち着いていった。



 宮殿は暴走し続けた。


太陽が地球にやって来る、太陽が地球を襲う、世界中ではそのように騒がれた。


ちなみにその太陽は人類が人類の手によって、生み出したものだ。


人類に残された道は地球の重力圏に入る前に宮殿を停止させるか、宮殿を地球から遠ざけるか、その二つしかない。


世界各国の調べによると、宮殿には多くの問題があった。


まず、宮殿の構造自体に問題があった。


動力部の回転力にかなり不安定な所がある、機械が回転していく過程で誤作動が生じやすい、バルブの構造もあまり良くない、流体力学的な観点から見ても内部の構造はかなり効率が悪い、動力部が一箇所に集中しており、補助的な動力部は設備が軟弱であるといったように構造の面でかなり多くの問題があった。


さらに、エンジンをコントロールするシステムも不十分である、エネルギー変換の効率もかなり悪い、安定的なエネルギー供給が出来ない、噴射装置の出力が低く、あまり使い物にならない、磁力装置やジャイロ装置が故障している、衝撃吸収装置や宇宙ゴミの侵入を防止するシステムも不十分である、フィルターの一部に不具合が生じているといった問題もあった。


問題だらけだ。


それが地球に衝突しようとしている。


しかも、主要な国々は自らのエゴを押し通す事しか考えていなかったせいで解決への道はなかなか見えなかった。


どうにか、宮殿の中に入り、修理作業と操縦を交互に行うことで地球から遠ざけようという案で話がまとまった。


宮殿は徐々に地球から離れて行った。


そして、宮殿の動力部は自然に止まった。


事態は収束したかのように思えた。


しかし、国と国の間によりいっそう軋轢が生じてしまった。


それは止まることなく大きくなっている。


成功だ!





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