第21話 結婚するって、大変でした(主に女性)

 美月は、職場に結婚したことを届け出た。

 班の中の夕礼で、その旨をみんなに報告した。


 みんな、驚くとともに拍手で歓迎してくれてうれしかった。


 席に戻ると、隣の席の同僚の女性が話しかけてきた。


「おめでとう!名前は変えるの?」

「はい、”早乙女”に変わります。よろしくお願いいたします」

「そう、でも大変ね~がんばってね」

「大変?」


 美月は不思議に思った。大変ってなんのこと?


「私が結婚した時に大変だったのよ、いろんな名義変更。今はマイナンバーカードとかもあるしね~」


「あ・・・」



 そう、名前が変わると名義変更が必要であった。


 家に帰って調べる。


 ・マイナンバーカード

 ・運転免許証

 ・各銀行口座

 ・各クレジットカード

 ・携帯電話会社

 ・いろんなサイトの会員情報や支払い銀行口座情報

 ・各種保険


 パスポートは持っていないので、手続きがない。年金や健康保険は会社で手続きができるとしても・・・


 うわぁ・・たくさんやることがある!


 銀行口座などの印鑑も変えないといけないので、まずは印鑑を作ることから始めないといけない。

 (まだ作っていなかった)


 順番も重要らしい。

 銀行口座などの変更のために本人確認書類(免許など)が必要。


 というと・・・


 印鑑を作る→住民票とかをもらう→マイナンバーカードや免許証を更新する →銀行口座を変える →クレジットカードを変える→携帯電話の登録を変える→各サイトや保険を変える

 

 でも、住民票って何枚必要なの!?


 こんなことなら、入籍はお盆休みの直前にしておけばよかった。

 連休であれば役所や銀行の手続きが楽だったのに・・・



 Webサイトを見るとリストを作るといいと書かれている。


 美月はちょっとパニックになりながら、リストを作り始めた。

 特に、登録している通販サイトが多いので大変!



「いやあ・・何か手伝えることがあったら言ってくれ・・」


 健司は、なんと声をかけていいか困りながらコーヒーを入れて差し出した。

 名前の変わらない健司は手続きはほとんどないのだ。

 せいぜい、保険の受取人を変えるくらい。


 そして・・・残念ながら手伝えることもあまりないのだ。


「ううう、不公平です・・・・健司さん助けてください・・」

「う・・すまん」


 不公平とはちょっと言い過ぎではある。引っ越し時に健司は住所変更手続きを既にやっていただけである。


 美月は、期せずして”早乙女美月”と言う名前を、様々な申請書類に書き込むことで書き慣れることになった。

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