第1話 瀬戸家への挨拶

「お嬢さんと結婚させてください」

 健司は、緊張した面持ちで瀬戸菊夫と瀬戸さくらを前に頭を下げた。


 すると、瀬戸菊夫は言った。


「もちろん、健司君であれば歓迎だよ。これからも、美月をよろしくお願いするよ」

 満面の笑みである。

 

 健司と美月はホッとした顔になる。


 健司は、もう何度も瀬戸家を訪問しているの。初対面ではない。だが緊張するものは緊張するのだ。


 その後は、瀬戸家でご飯を食べることになった。


「それで、新居を見に行ったんだろう。どうだったんだ?」

「広くて、結構きれいだったわよ。窓からの眺めが良いの。それから、食洗機もあってね。便利そうなの」

「へえ、食洗機は便利そうね」

「駅からも近いので通勤は便利になりますね」

「引っ越したら、一度見に行ってもいい?」

「ええ、ぜひよろしくお願いします」

 なごやかに会話が弾む。


 瀬戸さくらが、健司に聞いた。

「それで、結婚式はどういうところで考えてるの?教会でやるのかしら?」

「いえ・・まだ何も決めてなくて。美月とも話していないので・・」



 すると、瀬戸美月が右手を上げてそっけなく言った。




「あ・・私、結婚式やらないよ」





「「え〜〜〜!?」」

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