少年少女たちは決められた運命をいつか踏み越えて、自分の足で歩き始める

一つは、一人一人がマガリコと呼ばれる相棒を持ち、性別の選択を通過儀礼とする世界。
一つは、現代の日本。
二つの世界がつながり、よく似た名前を持つ少年少女たちが出会い、冒険を経て成長する物語です。

子供から大人に移り変わる途中の少年少女たちの心理にリアリティがあります。
男らしさや女らしさ、昔から続いてきた慣例など、与えられたものと自分の心との間に齟齬が生じて、上手く前に進めない。
二つの世界は文化が違い、彼らが引っ掛かりを感じるものもそれぞれなのですが、それゆえに分かるのです。「物事の基準は一つではない」と。

子供だけで見つけた世界の秘密と大冒険に、心が躍りました。
勇気を出し、知恵を絞り、力を合わせて困難を乗り越えた先で、彼らは生きる上で真に大切なことを知ります。

読者視点でのみ知り得るパートも印象的でした。
心は常に自由であるべきですね。

子供たちが成長する姿に、背筋が伸びる思いがしました。
彼らと同じ年代の少年少女はもちろんのこと、大人も楽しめる素敵な物語でした!

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