第参章 繋ぐもの

第拾参話 崩壊の音


 崩壊の音が聞こえる。時の終焉が近づいている。


 今のあたしにできることは、ただ、見守ることだけ。

 あなたとあたしで創り上げた、この世界。


 平和に満ちたこちらの世界と、暴力に塗れたあちらの世界。


 苦労して創り上げたこの美しい世界が、あちらの世界と混じり合ってしまう。もしくは消え去ってしまう。そんなこと、あたしが許さない。それだけは、させてはならない。

 ペンを執り、あたしは必死に世界を綴った。絶え間ない崩壊から、愛する世界を守るために。



 この物語は続くのか、終焉を迎えるのか。あたしは責任を持って見届けねばならない。この小さな世界の、創世者として。


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