第8話

幼馴染義妹ユーコとこんなやりとりをしていたら、やがて、ピンポン!と呼び鈴が鳴った。

時刻は14:00、5分前。


真島先生が来たみたいだった。


「あ、センセ、来た!」


俺は嬉々として目の前にいたマヒロを押し退け、玄関先に向かおうとした。


しかし。


ドカン!


とユーコに両手で突き飛ばされ、


「私が行く!」と俺は危うく

テーブルのへりに頭をぶつけて

大変な痛みに襲われた。



「いててて....」


ユーコが、俺の怪我などおかまいなしに、

真島先生を俺の部屋に招き入れ、

「今日から私も、お世話になります!

宜しくお願いしますー!」と挨拶してた。

俺はアイスノンで頭に出来たタンコブを

冷やしていたんだが、




ただの、ふつーの私の指導お願いします、の挨拶だったが、

此処から不穏さがぱなくなった。


お、女の喧嘩っぽい会話が勃発したんだ...!



な、なんと....!


真島先生は、


「昨夜、私のところに本部から連絡があって、ユーコさんの指導も頼まれたんですけど、ユーコさんて、

かなり優秀だと聞いてます」


「1、2年生の頃は、総合で400点、連発してたんですよね?」


「あー、それはそれは!確かにそんなこともありましたですけどw」

「今はダメダメですぅ!なんとー、今回、

前回より百点位、点数下がっちゃったんですぅ!」


「これ、成績表なんですけど、

見てくださぁい!」


真島先生は差し出されたそれを見なかった。



ユーコの奴は。

いささか馬鹿な女を演じよーとしてるらしく、

ありましたですけど、と意図して日本語、おかしくしてる感があった。


「あなたのこと、詳しく尋ねたら、

頭の出来は凄いイイ子、だと本部の者は

教えてくれました」


真島先生は淡々と続け、

遂に。


「私の指導は必要ないと思います」


「あなたのお母さんを呼んでください。

私、その旨、お伝えしますから。

指導にあたり、お金、結構かかりますしね」


「.....っ!」とユーコ。




「私的には、先生一人に対して、生徒二人の同時指導はオススメしません。頭のいいあなたまで見てたら、

シンジくんの受験の合否にかかわると考えます」


「シンジくんは、マンツーマン指導しないと

ダメだと思いますよ」


「.....っ!」


ユーコの歯軋り音が聞こえてきた。


「あなたのお母さまに話があります。

今、御在宅ですか??」


「い、今ね!お母さんはパートに行ってる...!!」


「だから、いない!」


ユーコのやつ。


嘘を吐きやがった。


ユーコママ、つまり俺の義母さんは

今。台所でおかって仕事をしてて

家にいたんだ。


少しして、


義母さんが、

「うちの娘、

宜しくお願いしますー!」と言いにきたもんだから、ユーコの嘘がソッコーでバレることとなった。

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