第2話

俺も、ユーヤも高嶺の花の美少女、

林ユーコもクラスが違う。


そんな訳で。


教室に行けば、姿が見られるってことはなくて。たまたま運良く廊下で鉢合わせしたり、

帰り際、下駄箱のとこで顔が見れたりしたときはとんでもなく、ラッキーだと思って日々生活していた。


それにしても。


ユーヤと好きな人が同じとは気まずい。

そして、完全に分が悪かった。


「おまえは?お前は誰が好きなんだ?」


「あー、えっと...」


まさか、俺も林ユーコだよ、とはズバリ言えずに、はぐらかしてしまった。


「今んとこはいないかな...」


「そっかあ。そういえばさ、お前と

マヒロだけど、お似合いだと思うんだよなぁ」


「え、マヒロ?」


マヒロと言うのは俺とユーヤの幼馴染。

ボーイッシュな女子で、一年生ながら空手部の女主将でめちゃくちゃ活発。


「うん。マヒロのヤツ、サバサバしててさ、

女子っぽくなくて、付き合ったらきっと気楽だと思うんだよね」


そんな会話をしてたら、

噂をすればなんとやら、で。


マヒロが現れた。


ドーン!と俺の背中を押して。


「ちょ、なになに!?マヒロって、聞こえたけど私の悪口!?」


ショートカット女。

男みたいな顔立ちとスタイルだけど、笑うと八重歯が覗いて何気に可愛い。


でも、こいつに俺は恋愛感情は

特にいだいてなかった。



「悪口とかちげーよ!ユーマのやつに、マヒロはサバサバした女で、付き合ったら他のねちっこい女子と違っていいと思うぜ、みたいなことを話してた」


「そんでもって、ユーマとお前、

お似合いのカップルになれるんじゃないか?とまで話してた」


「ふーん」


マヒロは少し疑心暗鬼を目に含み、

俺の顔をジロジロ見た。


そして、ユーヤの前でこんな余計なことを言ったんだ。


「うちら、カレカノにはなれないよ。

だってね、ユーマの奴、学年一の茶髪美少女で

高嶺の花の、あの、林ユーコのことが

大好きなのよ!」


よりによってこのタイミングで、

ユーヤの前で!

俺の好きな女をバラしやがった、マヒロのやつ!


このとき。

ユーヤの眉が、ぴくんと動いたのを俺は見逃さなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る