NEW【GAME】OVER

渡貫とゐち

SET:1【ニュー・ゲーム】

第1話 イメージガール・三日月からの重要なお知らせ。

 大きなモニター。

 そこに映し出されたのは、幻想的に輝いて見える、真っ黒な髪をした少女。


 その髪は腰あたりまで伸びていて、

 彼女はくるくるとその場で回って、アピールをしていた。


 そんな彼女は一回転して、ふぅ、と呼吸を落ち着けて、ゆっくりと口を開いた。


『えー、ゴホン……あ、これ読むのかな……? うーん、あ、これか』


 少女の姿が画面から消えて、がさごそと音が鳴る。

 十数秒が経った頃に、画面の中に、少女の姿が戻ってきた。


 自分を映しているカメラの下をじっと見る。

 それを気づかれないように気にしながら、言葉を放った。


 ……思いっきりカンペだった。


『……オホン。――――世界最大のゲームセンター「ゲームシティ」。

 私達が世に送り出したゲームは、対戦格闘、レーシング、リズムゲーム、クイズ、昔ながらの横スクロールアクションゲームなどなど……、

 みなさんを熱中、そして熱狂させることができました』


 カンペのおかげか、スラスラと言葉が流れる。

 少女はそして、と前置きをしてから。


『――次に私達が送り出すゲームは、体感以上のまったく新しいエンターテイメント。

 そのアーケードゲームの名は「ニュー・ゲーム」。

 私達のゲームは、もう一段階、進化しますっ!』


 その後に、『詳しくはネットなどでお知らせしますねっ!』と少女が元気に言った。


 画面内に星が散る。そういう演出なのだろう。


『――以上、ゲームシティのイメージガール、「三日月みかづき」でした!』


 三日月と名乗る少女の笑顔が映り、そして映像が、プツンと切れた。

 その次には、他の番組やゲームなど、色々なCMが流れていた。


 その中でもやはり、ゲームシティの存在感は圧倒的なものだった。

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