臆病な少女と、勇者の使命。

千年に一度魔王が復活し、その度に勇者が選ばれて封印を行うことで平穏を保っている世界。
そんな中、今代の勇者に選ばれたのは剣を持ったことの無い、か弱い少女だった。

フィオナは非常に臆病な少女で、勇者に選ばれたにも関わらず魔物を倒せないどころか逃げ出してしまうほどである。
そんな彼女には頼もしい仲間がいた。特に幼馴染のイルゼは大人の男にも負けない剣術の腕を持つ少女であり、魔物を一刀両断に切り伏せることができる。

そうしてどうにか冒険を進めるフィオナだが、そんな彼女にも勇者として果たさなければいけない使命が訪れる――

この作品は第一部が完結済みで、その続きに当たる第二部が連載中となっています。第一部だけでもまとまった一つの物語となっているため、まずはこちらだけでも読み始めることをお勧めします。
この作品は会話や心情の表現が丁寧に組み立てられていて、キャラクターが生き生きと表現されているように感じました。その結果として場面がしっかりと描写されており、第一章の終盤では心がぐっと動かされました。

フィオナは「勇者」という理不尽なシステムとどう向き合うのか。そしてその決断はどのような結末に向かうのか。
彼女の冒険の行く末を最後まで見届けたい。そう思わせてくれるような素晴らしい作品です。

P.S.
また、この作品の魅力として主人公のフィオナと幼馴染のイルゼとの関係性が挙げられます。
ともすれば依存にも見えるほどに強い絆を持つ二人がこれからどうなっていくのかが楽しみでなりません。