7年前の私たち

第6話 スムージーとかホントに好き?

 出会いは入社式。

 ソコソコの外資系商社であった。

 営業志望の佐藤ナミ ここで適当に経験を積んで大手に引き抜かれてキャリアウーマンとなることを希望していた22歳の春。

 30人程の新入社員の中で一番背の高い女であった。

 まず目についたのは、スーツのボタンが苦しそうな巨乳で派手なメイクの山村コトネであった。

 椅子に足を組んで座っていた姿が印象的だった、胸もそうだが…。

 自分の右隣に座っていたのが星ナツコ、入社式開始の数分前に慌てずに堂々と入ってきた女。

 強メンタルだな~と思った。

 隣のナミにニッコリと笑いかけたナツコに、優しそうな女だな~と思ったが間違いだった。


 入社式が終わると喫煙場所へ向かう巨乳、自動販売機で紙パックのヨーグルトドリンクを買う笑顔の女、皆、緊張感無いんだな~と意外に感じた、緊張感が無いのは、この2名だけだったのだが…。

 研修が始まって、2日目の昼食、会社の食堂の隅で、うどんを食べていたナミの正面にドカッと座った煙草臭い女コトネ、特に話すわけでもなく、無言でピラフを喰っていた。

 隣のテーブルに笑顔のナツコ、ジーッとナミを見ていた、目が合ってヘラッと愛想笑いをしたナミにナツコが唐突に

「佐藤さんって美人ってだけよね~」

 ナツコは研修中にアクビしかしていないナミをジーッと観察していたのだ、そして2日目で出した結論が、

「なんか抜けてるっぽい…」だったそうだ。(ナツコ本人後日談)

 それを聞いたコトネがチャーハンを吹きだしナミのうどんの中にポチャンッと落ちた。

 それを3人で、しばし眺めてプッと笑い合った。

 コトネと会話らしい最初の一言は、

「スーツ…キツそうだね山村さん」

「いいね佐藤さんは、巨乳はドレスしか似合わないから」

 最初から貧乳をディスってきたのである。


 つまり2人のナミの初見は『マヌケ』『貧乳』であり、それは今でも変わっていない。

 6年経っても…


 その後、なんとなく3人で昼食を食べるようになり、研修が終る頃には悪態を吐くほど仲良く?なっていた。


 ナツコは総務課へ配属が決まり、コトネは経理部へ、ナミは希望通り営業部へ配属となった。

 ナミが思うに、いつもニコニコしているナツコは口さえ開かなければ愛想のいい女、コトネは派手過ぎて外向きの仕事はちょっと…人事部の采配は外面で決めているのでは?

 自分はなぜ営業部となったのか?

「見た目デキる女だから」

 ポジティブな性格は自意識過剰になりがちなのだ。


 人事部の采配の正しさは今では問う必要もないのだが…それぞれでキチッと3人は問題を起こすこととなるのである。

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