世界じゅうの誰から疎まれても、二人で見る海は優しく穏やかに煌めいている

『忌み子』と呼ばれる魔法使いの少女リルと、剣士の少年フレッド、二人の旅路を辿る物語です。
まだ幼さの残る少年少女は、なぜたった二人で旅をしているのか。そこに、この物語最大の秘密が隠されています。

リルの一人称視点、そして敬体で綴られる文章が優しく丁寧です。
同時に、世の人々の『忌み子』に対する冷たさも淡々と描き出していきます。
ふんわりしているように見えて、どこか達観している。
年齢に似合わない精神性を持つリルは、いったい何者なのでしょう。

魔法の設定が緻密で惹き込まれます。
世の理が解き明かされる時、リルの背負う大きな運命と哀しい覚悟も明らかになります。
タイトルの真の意味を知った瞬間、胸を衝かれたような気持ちになりました。

世間一般の幸せが手に入らなくとも、二人で一緒にいるから、二人なりの生き方がある。
あらすじにある通り、これは『後悔を辿る物語』でした。
でも、二人が辿ってきた道の先にも、まだ道が続いていました。
新たな旅の目的が、明るく輝く希望にも思えます。

心地よい読後感。
爽やかで、温かい気持ちになれる素敵な物語でした!

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