第2章 メラノ奪還編

第20話 メラノ覆う防陣

〜メラノ城内〜

「はぁ…はぁ…」

跡形も無くなった大広間に膝をついた男が1人。既にクリーチャーの軍勢に囲まれ絶対絶命の状況であった。


「フッ…我らターミナル四天王の敵では無かったな。メラノ一の戦士だと聞いていたが、赤子の手をひねるほどの手応えだとは。」

指揮官らしき男が彼を見下ろす。

「お前は勇敢な奴だ。だから敬意を払い引導を渡してやろう。このアホリア・アンチデス直々にな。」


「やられは…しない!『ブレイブソード!』」

最後の力を振り絞り、男はアホリアに向け剣を振るった。

ギィィィンン!

その剣は無慈悲にも鎧に触れたと同時に砕け散った。


「何度やっても同じだ。その剣では『メタル化-魔術反射装甲』を貫くことはできぬ。やれ『マグ=ソトース』ギュオオン


「???????」

手にしたカードから異形の存在が現れた。鑢状の口に光が集め光線を放そうとしている。


「ここまでなのか…みんな…どうか無事であってくれ…」

男は地面に伏してしまった。


「『マグ=ソトース』の攻撃。『アンフォーム・ボイド』」


「???????!」ボシャー!


無慈悲な虹色の光が男に向かい放たれた。

ボジャアアン!


「この攻撃を耐えるのは不可能…おや?」

アホリアは勝利を確信していた。

だが、彼はバリアによって守られ、無事であった。


スオオオ…

「助けにきましたよ!勝也さん!」

絹のように美しい髪をなびかせた少女が突然現れ、男の手を取った。


〜メラノ近郊 メラノ平原〜


普段は穏やかな田園地帯であるメラノ平原。だが今ではクリーチャーに占拠され元の姿をとどめていなかった。

平原中心部の都市メラノを攻めるため、クリーチャーたちは『防陣の信徒ルムルム』を壁のように展開し、都市を完全に囲っていた。

この『防陣の信徒ルムルム』というクリーチャーはアンモナイト型の機械のような姿をしており、複数の個体がシュルシュルと集まり、堅牢なバリアを形成する習性を持っている。(出典FT)

効果はこんな感じだ。


『防陣の信徒ルムルム』

コスト2 白属性 ATK0 DEF1400

①このカードがフィールドにいる限り他の白属性クリーチャー全ての守備力は600アップする。


つまりルムルムが2体いるとDEF2000になり3体になるとDEF2600となり、数が増えれば増えるほど堅牢な壁に成長していく恐ろしいカードなのだ。


そんな奴が無数に入りとなると突破はほぼ不可能。いかなる攻撃も通さないだろう。



俺は今、そのバリアに突っ込もうとしている。加速が止まらず、激突するまでざっと13秒くらいか。

…これはカタパルト・フロッグの性質上仕方のないことだ。あいつの能力は効果対象がいなければ発動しない。今回はたまたまその対象がルムルムだった訳でご覧の有様だ。

さて、ここからどうするか。相手は全て守備表示なのでエルーマは通らない。

ここはホワイトロータスに頼る必要がありそうだ。


キュピーーン


祈りが届いたのかホワイトロータスが光を放った。


「頼むぜ!ホワイトロータス!」

俺はカードを引き抜いた。


「よし『ヘル・スクラッパー』を発動!」


『ヘル・スクラッパー』

コスト2速攻魔法カード 

相手フィールドのコスト2以下のクリーチャーを全て破壊する。


ギュイイイン!

カードから巨大なシュレッダーが現れ、ルムルムの群れを一掃した。

さすがは元準制限カード、その強さは今でも健在のようだ。

「やったぜ!…じ、地面にぶつかる!」

ズドーーン!

喜びもつかの間、俺は地面に叩きつけられた。


「う…なんとか無事か」

俺はすかさずLPを確認した。


LP4000→3800


「この程度か。大したことないな。」

ダメージが思ったより軽く、安堵できた。


キラーン!


「え?」


ズドーーーン


俺に黒い隕石が直撃した。


「マサル!すまない!君に直撃してしまった。」


「ま、まあ気にするなよ!」

ふとLPを確認する


LP3600→2300


この時俺は気がついた。

(あれ?対象がいなかったらプレイヤーにそのダメージがいく仕様なのか?)


(俺って…ATK400もあったのか…)

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