2 宇宙は瞳を閉じている。

 宇宙は瞳を閉じている。


 とんとん、とドアをノックしてから、「失礼します」と言って真里亞は放課後の時間に新聞部の部室のドアを開けた。

 でも新聞部の部室の中には誰も人がいなかった。

 真里亞は少しだけ空いているカーテンの隙間から光の溢れている新聞部の部室の中に足を踏み入れていく。

 新聞部のテーブルの上には『宇宙は瞳を閉じている』と言う題名の短い小説の本があった。

 その隣には校内新聞の原稿がある。

 真里亞がそっと覗いてみると、そこには『消えてしまった月』という題名が一番上の見出しに大きく書いてあった。

 土星の輪の次は月がなくなってしまうのか。……なるほどな。

 と思いながら、真里亞はそんな来月分の新聞の原稿をなんとなく読み始めた。

 すると、少しして「誰? 誰かいるの?」という声がした。

 真里亞は驚いて、新聞から目を離して、声のした部室のドアのほうを振り返った。

 するとそこには一人の男子高校生が立っていた。

 真里亞の知らない、東山高校の制服を着た男の子だ。

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