第5話 最初の夜

第3話をちょっとだけ変えました



◇◇◇◇


「え・・・・?」


 藤島静香は、かなり驚いた。

 侍女に、風呂はないのかと尋ねたところ帰ってきた言葉。

 ”お風呂って・・・なんでしょう・・・?”

 だったのだ。


「ええと・・皆様は、汗とか体の汚れはどうしているのでしょう?」

「週に一度、水で布を濡らして体をふくのですが・・・」

「え・・それだけ?」


 かなりの衝撃である。

 日本では毎日、シャワーを浴びるかお風呂に入るのが一般的。

 それが、ここでは”風呂”という概念そのものがないらしい。


 ”困ったわ・・・”


 とりあえず、体をふく布と水をお願いしたのだけど・・・ちょっと嫌な顔をされた。

「ええと・・問題ありますでしょうか・・?」

「いえ・・・その、水は非常に貴重品ですし、運ぶのも重労働なのです」

「そうなんですね・・・」


 そう言われてしまうと、無理にお願いしにくい。

 しかたなく、あてがわれた寝室でそのまま寝るしかない・・・


 寝室は男女に分かれて用意された。

 ちなみにパジャマという概念もないらしい。

 下着で眠るしかない。


 藤島は、なかなか寝付けなかった。

 召喚されたこの国では、快適な暮らしとは程遠い。

 正直、かもしれない。

 だけれども、残念ながら自分以外に3人もついてきてしまった。


 しばらく、横になって考えていると・・・隣のベッドで寝ていたエリザベスさんが起き上がる気配。

 ”なんどろう・・”

 そう思っていると・・・服を着ている様子。


 足音をさせないように・・・扉の方に行って気配を探っていたかと思うと・・・


 今度は窓のほうに向かう。

 そして、木のは値上げ式の板を静かに開けたかと思うと・・・

 音もなく、窓から出て行った。


 ”え?????”

 昼間見た限りでは、窓の外に足場なんかなかったはず。


 ベッドに起き上がり、木の板が閉じられている窓の方を茫然と見つめる。

 ”エリザベスさん・・・あなた・・・何者・・・・?”

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