第20話「部屋の物はどれでも自由に持って行って構いません」
【殺人現場】──自由行動中には閉まっていたはずのその部屋の鍵が、いつの間にか開いていた。
マコたちが部屋に入ると、部屋の隅で仁王立ちしていた魚のお面を顔につけた制服警官が近づいて来た。
『部屋の物はどれでも自由に持って行って構いませんがね、後の人たちのことも考えてお持ち帰り下さい』
制服警官は諸注意とばかりに、それだけマコたちに伝えると定位置に戻って行った。
既に、初めにこの部屋を訪れたであろう間石の姿はなく、清澄も足達も証拠品を手に入れて満足気に部屋から出て行くところであった。
「ええっと……」
マコは部屋の中をキョロキョロと見回した。
──目ぼしいものは何もない。
死体を囲っていたテープや凶器の包丁など、重要証拠と思われるようなものは既に持ち出されていた。
最後に部屋を訪れたマコが持ち帰れるものと言えば──おおよそ事件とは関係ないような部屋の隅っこに落ちていた『布切れ』や被害者の遺留品であろう『携帯電話』くらいであった。
一応に、マコは携帯電話を操作してみた。
もしかしたら、犯人グループに繋がる何かしらの情報が残されているかもしれない。──そう思って漁ってみたが、データは何も残ってはいなかったし電波すら入らなかった。
ろくな収穫を得ることができず、マコと綾咲はトボトボとモニター室へと戻って行ったのであった。
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