第8話「何か分かったら教えてくれ。みんなで協力しよう」

 鍵が開いているのは以上の二つの部屋と、初めにマコたちが捕らえられていた広間──。さらにもう一つ、鍵のあいた扉の中に開けた空間があった。大きなモニターのあるその部屋に、同期生たちの姿があった。どうやらここにみんな集まっていたようである。


「ふむ……、なる程な。そういうことだったのか……」

 眼鏡の男が考え込んで、何やら呻いていた。

「……ん? どうかしたのか?」

 足達が声を掛けると、眼鏡の男は慌てて手を振った。

「あ、いや。何でもありませんよ!」

 ははは、と眼鏡の男は取り付くように愛想笑いを浮かべた。まるで何かを誤魔化しているような仕草である。

「そうか……。何か分かったら教えてくれ。みんなで協力しよう」

 それでも人の良い足達は、そんなことを口にしていた。

「ええ。勿論ですよ。分かったことがあれば、すぐに足達教官に報告しますから!」

 眼鏡の男は愛想よく笑うと、そそくさと足達から離れて行った。

 眼鏡の男の背中を見ながら足達は肩を竦めた。

「まぁ、こんな状況だ。一人になって気持ちを整理したい者だっているだろう。焦ったところで仕方がないさ。ゆっくりとしようじゃないか」

「……ええ。そうですね……」

 足達が壁際にどかりと腰を下ろしたので、マコもその隣にちょこんと座る。

 どうやらマコたちは歓迎されていないようである。

 視界の端で眼鏡の男や同期生たちが避けるように次々と部屋を出て行くのが見えたが、マコは何も言わずにそれを見送るのであった。

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