【『時間がかかる』の是非を問う】

 この中で最大限な女性蔑視発言と見なされている部分が、

 『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります』という部分。

 これが女性蔑視だという。いったいどういう構造式でこの主張が成り立っているのだろうか?


 理事会とは何ぞや? それは会議である。

 会議とは何ぞや? それは議論の場、話し合いの場である。


『議論に時間をかける奴は無能!』

 攻撃者達の頭の中にこうした先入観がある。女性の側に立っています!というアピールのために『男の方が話しが長い!』と言い出す者があまた出ている状態だ。


 だがちょっと待って欲しい。この理屈はかなりおかしいじゃないか。

 前提が間違っていた場合、そこから導かれる答えは当然間違った解答になるしかないのだ。

 間違った前提に基づく攻撃を差別という。


 ちょっと考えてみようか。議論や話し合いに時間がかかるというのは良いことじゃないのかね? そこに意見の応酬があり闊達な議論があるから時間がかかる。これは良いことの筈だろう。

 逆に意見の応酬が無ければ闊達な議論になりようがないから時間がかからない。これは誉められることだろうか?


 かの朝日新聞も『もっと議論を尽くせ』としばしばこのフレーズを社説に書いて、時間をかけて議論することを大いに肯定している。


 とかく民主主義というのは時間がかかる。時間がかからないのは独裁制だ。

 つまり『女性がいると議論や話し合いの時間がかかる』というのは肯定的に捉えるべき事柄ではないか! 森喜朗発言をよくよく考察するなら会議に女性を増やすと、より民主主義的になるという意味になっている! これを否定するとは何事か! これがどうして女性蔑視発言になっている⁉


 それを『会議の時間は短い方が良い!』『議論の時間は短い方が良い!』などと言う奴らはまともに思考しているのだろうか? 頭がついているだろうか? 

 今熱狂してると後で恥をかくことになるばかりか個人攻撃に荷担したことになるだろう。今起こっている熱狂はSNSでしばしば起こっている『炎上』に悪ノリして重大な結果を招くああした事件と同じものである。



 もう恥をさらしている者はいる。これがどれほどの恥になるのか、ひとつ実例を示そうではないか。とんだバカげた勘違い野郎を紹介しておく。


 『ザ・ガーディアン』という間の抜けた新聞がある。イギリス人新聞である。

 2021年2月6日付紙面で『学術研究のデータによると男性の方が多弁だ!』と曰い、『彼(森喜朗)は物事を知らないようだ』と日本人に対しマウントをとってみせた。


 俺は絶句しそうになる。しかし言わねばならん。これって、『男の方が議論に向いている。男は女より優れている』っていう意味になってるぞイギリス人! 女性を蔑視していいのかよ⁉

 

 この間の抜けたイギリス人新聞はさらに自分が入るための墓穴を深く掘り続けていた。

 前述の学術研究のデータというのが、コミュニケーション学の研究者、バラ・イーキンス他、による論文だとのこと。7大学の教授会議を録音調査した結果、『男性の最短の発言時間が女性の最長時間より長かった』という。


 俺は言うぜ。言ってやるぜ。それってイギリスでの調査の結果だよな。つまりイギリス人の女がろくに議論をしていないってことだぞ! イギリス人女は議論に向かないってことだぞ! 日本を攻撃するつもりがイギリスを墜としてどうすんだよイギリス人!


 この記事を書いている記者も書いているうちにさすがに『?』と、自分でも何を書いているのか解らなくなったのかもしれない。


 同記事はジョージタウン大学(アメリカの大学)の言語学教授、デボラ・タネンなる人物の発言を紹介している。曰く、

「多く話すと男性から〝攻撃的だ〟とレッテルを貼られかねないと考えているためだ」。


 それってアメリカ社会はそうなっているってことじゃねーか! アメリカを一緒に地獄へ巻き込むとは!(ま、いいけどね) だったら日本を攻撃する前に自分達(イギリスやアメリカ)が女性の地位向上に取り組めよ!



 ここで改めて森喜朗発言に立ち戻ろう。

『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります』

 この発言は日本では女性が発言しやすいので会議に時間がかかるという意味になっている。


 女性が自由闊達に意見が述べられる雰囲気のある日本。対照的にろくに意見を述べられないイギリス人女性達。そして女性が多く話すと『攻撃的』とレッテルを貼るアメリカ人社会。


 即ち日本社会の方がイギリスやアメリカ社会よりも女性にとって良い環境にあるってことだぞ。


 で、なんで遅れた社会に住んでいるイギリス人メディアや、アメリカ人メディアの奴らが『女性が抑圧されている日本!』なんてことを言って日本叩きしてるんだ?


 いくら大声で熱狂を煽るように煽動をして一時的優位を得ても、しょせん理屈に合わぬ非難をしている奴らは差別者以外の何者でもないのである。

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