JKですが、クラーケンに転生しました。

林海

第1話 転生


 私、16歳のJK、名前は深町あおり。


 片思いの彼が交通事故で死んでしまったので、彼のもとに行きたいと日々祈っている。

 いや、別に死のうなんて思ってないよ。

 彼、殺しても死ぬような人じゃなかった。

 だから、絶対どこかで生き延びている。お焼香を済ませても私、そう信じて疑っていない。



 ねえ、どこ?

 どこにいるの?

 ……絶対に見つけてみせるからね、私。





 いつものように、そう祈りながら眠りにつき……。

 50日目のこと。

 目覚ましが鳴りもしないのに、目を覚ます。

 それは、いつものベットの温かさが、冷たさに満ちていることに気がついたから。

 おかしいなぁ。

 寝ながら毛布とか、床に落としちゃったのかなぁ。


 でも、冷たいのにね、寒くないの。

 体温を奪われている気がしない。

 むしろ、この冷たさが心地よい。


 ゆっくりと目を開けたら、真っ暗。

 真夜中に目が覚めちゃったかなぁって、まばたきを繰り返したら、ようやくいろいろが見えてきた。

 なに、この無限の空間。

 正確には、見えていないのと同じ。だって遠くに、数匹の魚が泳いでいるのしか見えてないから。


 なんで、私の部屋にホッケが泳いでいるのよ?

 魚の形の風船とか思ったけど、すいっーて泳ぎ方がリアルの魚みたいだった。


 いや、実際、リアルの魚じゃん。


 私、ただただ呆然としていた。


 でも、それもそう長い時間ではなく。

 「なんで私、水の中で溺れてないのよっ?」

 って、アセっていた。


 私は泳げなかった。

 ちょっとはナイスバデーだったけど、水着を着るのはプールサイドで遊ぶときだけ。

 小中では、プールはサボれるだけサボったしね。

 なんで学校の授業では浮き輪を認めてくれないのか、本当に頭にくる。

 泳げないものは泳げないのよ。



 で、ムヤミヤタラと振り回した自分の腕に、吸盤が付いていたのを見たときの驚き、誰かに分けてあげたい……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る