賢者とお姫様、聖剣の自我を目覚めさせる
「師匠とノアお久しぶり、です」
「あの、ミレイアさん何したんですか?」
「少し言葉遣いを教えただけじゃよ」
「まあ別にどちらでもいいとは思いますが」
「もしかしてエル丁寧に喋らなくてもいい?」
「少なくとも俺とノアさんに対してはな」
「じゃあ別にエル誰に対しても丁寧に喋らなくてもいいや。エルにとっては師匠が1番だから!」
そういってはにかむエル。俺は思わず頭を撫でてしまう。
城に顔を出してエルに会えた俺とノアさんは鍛治職人のおじさんのところまで戻ってきた。
「何かわかりましたか?」
「この聖剣に選ばれたものは生まれつき聖属性を使えること。少なくともこっちの聖剣は消滅したと思っていた自我が眠っているだけぐらいかね」
「自我が眠っている?」
「ああ。勿論、2つに分かれた聖剣の自我がまともとは限らない。もしかしたら目覚めた瞬間に自我が暴走して聖剣が壊れるかもしれない。まあなんにせよ、起こすなら自己責任でってことだな」
「自己責任ですか。とは言っても起こすにはどうすればいいのでしょう?」
「さてな。正直それもわからないんだ。昔、勇者が聖剣の自我を目覚めさせる時は聖剣に呼びかけていた」
「それは聖剣に話しかけるとかそういうことでしょうか?」
「そんな直接聖剣に話しかけるわけじゃねぇよ。心の中で問いかけるんだと。実際それで聖剣が話をできるようになっていたんだからそうなんだろうとは思うぜ。俺も実際声を聞いたことがあるし」
「なるほど....。しかし当時を生きていた方に聞いても俄には信じ難いものですね。聖剣が話すなど」
『普通はそう思いますよね。勿論、剣である私もそう思いますよ』
「ええ。剣が....ってあれ?」
「今、喋りました?」
「こいつは驚いたな。半分にされた自我がそのまま喋り出すとは思わなかったぜ。嬢ちゃん呼びかけたか?」
「いえ、全く」
『今の私を縛るものは特にありません。呼びかけられなくてもマスターが私と話したいと思えば私の自我は目覚めます』
「少しいいか?お前俺のことは覚えているか?」
『貴方は....誰でしょう?』
「覚えちゃいねぇか。1000年ぐらい前によくお前さんを整備してたんだが」
『1000年....。私はそんなに長いこと眠っていたのですか?』
「まあそうなるな。2本に分かれた時に記憶が無くなったということでいいのかね」
「大方そうでしょう。1000年前の記憶を聞いてみたいところではありましたが」
『待ってください。2本に分かれた?』
「お前さんは何かを失ってるぞ。記憶だけじゃなくて力もな」
『マスターである、失礼お名前をお聞きしても?』
「ノアです」
ノアさんは家名は名乗らずにノアとだけ答えた。
『マスターノアが聖属性を使えることは確認済みです。わたしに備わっていたもう1つの能力である剣技これが失われています』
「えっと、ということはあのノアさんの剣技は聖剣の能力関係なしに自力ってことですか?」
『マスターの剣技は完全に自力です。私は聖属性の力を与え、少し魔法の適性を上げることだけみたいですので』
恐ろしいことを聞いてしまった気がする。
『マスターどうですか?私の自我を完全に目覚めさせるというのは?』
聖剣がとんでもないことを言い出した。
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