第4話 帰城 - 4 -

 謁見の間を後にすると、最初に充てがわれた部屋に連れてこられた。

 フェルデナントとシアラと別れ、一人になった。入れ違いでカヴァリヤに運ばれた予言書を早く見たかったが、今日はまず休息を取りなさいという母親のようなカイの言葉でおあずけになった。


 部屋は出た時のままだった。

 制服は畳まれて、ベッドは整えられている。薔薇の花だけはひょっとしたら変わっているかも知れない。今日も新鮮でみずみずしい。


 急に手持無沙汰になり、大きすぎるベッドに腰掛ける。反動をつけて背中をふわふわのベッドに沈める。頭の中が、なにを考えるべきか混乱している。


 この世界でひとりっきりだと思ったけれど、ここに来てずっと誰かと一緒だった。ひょっとしたら前の生活よりも。知らない世界にきて、知らない人間に会って、私は救世主で、力があるかもしれなくて……魔法が……、人を傷つける魔法を使えるかも知れなくて……。

 それから、この世界にも戦争があって、また戦争が起きるかもしれない。

 

 もしも、私に本当にその力があったらどうすれば良いんだろう。


 どうかしないといけないのかな……魔法を使いこなせるようになって、カヴァリヤのために使えとか言われるのかな。


 使えって言われて、使わなきゃ殺し……はしないか。そもそもそんなことするような人たちじゃないよね。


 もとの世界に帰れないぞ……帰れるのか誰も分からないに?


 ……きっと、どうするのか?って言われたら一番困る気がする。


 ……どうしたい……のかな……

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