《6》10代のママごと(3)



【次回予告は信用しないでください。自分でもorzとなるぐらい次回本文とズレています(雰囲気程度に見てもらえれば幸いです)】



「また何か考えてる」

物思いに耽っていると彼女が顔を覗き込んでいた。

「え?」

「顔に書いてあるよ。またそういうこと考えてたって」

「え?あ、……その」

「もう。だらしないんだから」

そして背中に腕を回して抱きつく。

「今はこれで我慢してね」

「わかってる」

「困った人」

そして体重を乗せてくる。

「ウソみたい……すごく幸せ」

こんな新婚のような会話を受験期間中だったこの一年ずっと繰り返している。子供ができてからこの一年ずっと。

でもそれはそんな甘いことばかりじゃなかった。むしろ彼や彼女たちにとって十代の妊娠と出産がどれほど世間の偏見と醜聞を買うか思い知らされるほどのものだった。

「また手芸部に入ったんだ」

さっきまで彼女のいた辺りには手芸用の本や雑誌が散乱している。

中学二年の終わりに彼女は手芸部に入っていた。

「今度はちゃんと勉強したかったから」

「さっきの子たちも?」

「そう。俊哉くん部活でも大人気なんだよ」

子供の寝顔を見る。

「これは女の子には武器だもんね」

「二人目って聞いたらもう大歓喜。私けっこう自慢してるんだ。君のこと」

「おれ?」

「あなたじゃなかったら子供作らなかった」

「三人目の予定は?」

躊躇いなく腹パンをくらった。

「えほっ」

「三人目の予定は当分先です!」

「ん?」

「あ!」

そこで思わず彼女は口に手を当ててしまった。

「あるの?三人目……?」

訊ねると彼女は俯いてぼそりと舌を出すだけで終わる。

「秘密……!もう」

体を離すと慌てて散らかった本や雑誌がを纏めはじめた。

「あなたってそういう時になると友達と話す暇もくれないぐらい離さないんだから」

「ごめん」

「違う」

彼女は恋したようにこちらを見る。

「嬉しいの」



―次回―


彼は手の中の鍵を握りながら甘い家を後にする。



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