《4》10代のママごと(1)



【みなさんの考えてるハーレムものと私の考えてるハーレムものが一緒の内容だといいですね】



バイトが休みの日の学校帰りに手のひらの中にある鍵を見つめたまま、南という名字の書かれた表札のある門の前で立ち止まっていた。

数日前に妹によりもたらされた知らせの中で自分にとって大きな問題を持つものは合計三つ存在した。

今はその中のひとつ目を解決するためにこの目の前の家を訪れている。

インターホンを鳴らすとマイクから声が返ってきた。

「……はい」

「おれです」

「ああ、ちょっと待っててね」

母親らしき人の声で受け答えが終わる。

ガチャリと開いた扉から、母親と思われる女性が出てきた。

「いらっしゃい。あの子ならいつもの所にいるから」

「すみません。お邪魔します」

母親ほど離れた女性に促されて家の中に入り扉を閉める。

玄関には女子高生と思われる登校時用の革靴が三組ほど置かれていた。

「友達の人が来てるんですか?」

その問いに母親は笑って答える。

「そうみたいよ。もう入学式が終わってからいつもこんな感じ。でも入ってもらって大丈夫よ。話は通してあるから」

「は、はあ」

廊下に上がると背中を押された。

「頑張ってね」

母親の言葉に頭だけ下げるとおそらくそこにいるだろう居間の部屋を目指した。歩いていくと女子高生たちのささやかな笑い声が聴こえてくる。

とうとうその襖の前まで来ると一つ息を大きく吸い込んでノックした。

「おれだけど……来たよ」

女子たちの声が一気に静まり返る。それから次第に小さい囁き声で「じゃあね」「もう帰るね」と交わして襖が開けられた。

恐る恐る中にいた女子高生たちがすれ違いに頭を下げながら出ていった。そこには強い興味の視線が混じっていたのを感じた。

「お邪魔しました〜」

「ごゆっくり〜」

などという声を残して去っていく。

「いいよ。どうぞ」

その姿を追っていると部屋の中から声をかけられた。居間の中に入ると揺ったりと座る少女がこちらを見ている。

「お帰りなさい。……お父さん」

自分のまだ膨らんでいない下腹部を優しく暖めるように擦りながらそう言った。



―次回―


彼と彼女は過去に甘く辛い罪を背負っていた。そして今その罪と罰が明かされる。



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