Chapter1:Pastry chef she loved

フィオーレ・ビアンコ

例のフールフールによる事件から1か月後...


もうね...なまぐさ司祭の件は犬に噛まれたと思う事にしたの...私のファーストキスがまさかあのなまぐさなんて...ってそんな事は忘れてしまいましょう!


そうそう、グラノジェルス公爵が息子の一件で頭を下げにやって来てくださり、婚約破棄で多大な賠償金を支払って頂きまぁ左うちわでホクホクだったりwwうふふwwお金持ちはやっぱり違うわね!


まぁあの阿保とは本当に付き合ってられなかったので万々歳ですわ!


ちなみにエスタバン様はそれこそ悪魔に一生分搾り取られてしまって『種無し』になったらしいそうで...全くあーあとしか言いように無いですわ、因みにあそこはまだ12歳の次男のリオネッロ様が家督を継ぐそうですって...まぁあの阿保の二の舞にならない様に頑張って頂きたいですわね。


ちなみに私は例の事件で傷心を...と言って暫くタウンハウスで籠っていた...訳ではなくこっそりお忍びで街に繰り出し最近有名になったパティスリー『フィオーレ・ビアンコ』に週に2、3回通ってますのよ、うふふ。


だってあそこのケーキやお菓子すっごい美味しいんですもの!


初めて食べたザッハトルテ!ベリータルトにベイクドチーズケーキにプリンアラモード!種類豊富なマカロンそしてローズアップルパイ!あれは本当に美味しかった!中にたっぷりカスタードクリームの入ってて大好き!


カフェも併設されていてそこで頂く時出している紅茶は隣国エアヴァルドで採れた高級茶葉!それを淹れた物を出してくれるのも高得点!


なので今日もちょっと地味な紺色のジャンパースカートに白のブラウス、目立つ緑の髪を纏めて黒髪のウィッグをつけて、眼鏡をかけて化粧もそれっぽくしてちょい裕福そうな街娘に変装してお出かけですわ!

「またお嬢様パティスリーへお出かけですか???そんな甘いものばっかり食べて太っちゃいますよ!」


執事のぽっちゃりチョビ髭なおじさんのピエトロに指摘されるも別に何のそのよw


「別にいいわよ~暫く傷物って事で大人しくしておくしかないもの~裕福な後妻狙いで頑張るしかないしね、さて今日はどのケーキを頂こうかしら~うふふ」


そんな感じで街に繰り出す、ウルムの王都ルーチェの街並みを歩きながらウキウキ気分でフィオーレ・ビアンコへ向かう。


最近だと街の中を自動車が走る様になってちょっと気をつけなきゃいけないけど基本安全安心な街なのよね!


目印になる英雄マテウスの像の前で待ち合わせ、すると臙脂色のブラウスを着たちょっとぽっちゃり目な茶色の三つ編みの少女、スザンナがやってきた!


「あ!ティナ!ご機嫌よう!」


「ご機嫌よう!スザンナ!」


スザンナはタヴァーノ伯爵令嬢でとっても仲の良いお友達でスザンナの紹介で『フィオーレ・ビアンコ』を知ることができたのよね!


「今日は何を選ぶの?」


「そうね...ローズアップルパイの気分だからそれにしようと思うわ」


「私は最近発売されたフルーツロールケーキにしようと思ってるの!」


「あー良いわね!」


「もしだったらちょっと切り分けて交換しましょ?」


「ええ!良いの???ありがとうスザンナ!」


2人で楽しく会話しながら『フィオーレ・ビアンコ』へ辿り着く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る