朝の時間

yuzuneko

第1話 朝の時間 習作

「少し冷えるなあ」


思わず目が覚めた。

毛布の生地でできた布団カバーで包んだ

羽布団の中で身体を丸め込んだ。


今日は、正月にゲットしたの福袋の中身一式を見にまとい、そこそこ防寒対策をしていたはずなのに、この冷え方は尋常ではない。


スマートフォンを見たまま寝落ちしてしまい、シーリングライトはつけっぱなしだった。


そういえば昨日の夜、天気予報アプリをiPhoneXでチェックした時、今朝の最低気温は午前4時から5時ごろで3℃だという予報だった。


ベッドの上から見えるIDC OTSUKAのアウトレットで購入した、小ぶりなドレッサーの上に置いてあるトラベル用の目覚まし時計の針は、丁度4時を指している。間に合わせの安い時計にありがちだが、実際の時間より少し進んでいることは確かだ。時々修正するのだが、気がつくといつもそうだ。静かで冷えた部屋の中で秒針の乾いたばね仕掛けのような

音が響く。


控えめなもう一つの時計の音と少しタイミングを外しながらこだまする。

普段はこの程度の音は意識して聞くことはない。

だけど、明け方の静かさの中ではやけに耳に障る。


もう一つの時計は、ドレッサーの隣のIKEAHEMNESのグレーブラウンのチェストの上にある。SEIKO Emblem vintageの置き時計で、20年以上前のアンティーク。四角いガラス張りのボディにゼンマイ仕掛けが透けて見えるのが洒落ていて好きなのだが、時間が見づらいのが残念だ。購入する時は、そのエレガントさに惹かれたのだけれど。


目を凝らして四角いガラス面に描かれた黒いローマ数字と細めの長針と短針に目をやると、3時53分辺りを指している。やはりトラベル用は7分程度進んでいることを確信した。何故ならハイクオリティなこちらは常に信頼のおける時間を指しているからだ。


とりあえず、ベッドの脇のサイドテーブルに置いたリモコンに布団の中から手を伸ばし、Dyson hot and coolのスイッチをいれた。「25℃暖房中」の赤い表示が光る。室温がかなり低くなっていた為か、モーターフル回転で動き出した。温風の出る音の激しさでそれがわかった。約I〜2分後には、下がっていた体温も上がり、やっと布団から抜け出し起き上がることが出来た。


湿度も低いのか、靴下を脱ごうとしたらカカトや指先ががガサガサとあたる。一応、昨晩風呂上がりにNIVEA Marshmallow careを少し擦り込んではおいたのだが、別の対策が必要な季節がきたのだと悟った。


思わず、スマホを手に取り、フットケア用品を検索した。

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