第10話万屋部の謎

とある放課後。いつもの部室。

『ねぇオタク〜寒いから窓閉めて〜』

『そのあだ名じゃなく出来れば名前で呼んでくれ…』

部長が大きなため息を一つ吐いて窓を閉めにパソコンの席からたった。

『最近風も冷たくなって寒くなってきたからね。そろそろあれを出してもいいんじゃないかな琢磨くん』

はい、と温かい入れたての紅茶を人数分机に置き優斗先輩はなにかを部長に提案した。

『あ〜あれか。確かに欲しいなあれ』

『あれか、確かにもう時期だしそろそろ準備するか』

あれってなんなんだろうか。部長達はわかってるみたいだけど…

『あの〜…あれってなんなんでしょうか?』

どうやら美月ちゃんも同じこと考えてたみたい。

『それは持ってきてからのお楽しみって事で…冬馬くん!手伝ってくれたまえ!』

『わ、わかりました』

部長に連れられてきたのは部室の隣の教室だった。

中には使われてない机や授業で使ってた道具であろうものなど色んなものが置いてあった。

誰も手をつけてないんだろう、少し埃をかぶっている。

『えぇっと…確かこの辺りに…あったあった』

どうやらお目当てのものがあったみたいだ。

近づいて目的のものを見てみる。

『ストーブ…ですか?』

『そう、これからの冬に向けてはこいつの出番だからな。冬馬くんそっち持ってくれ。部室に運ぼう』

『わかりましたけど…これ勝手に持っていって大丈夫なんですか?』

『ん〜?勝手もなにもここにあるやつは全部万屋部で使っていいものだけだぞ?』

『そうなんですか!?』

『おん。顧問も許可してるしな』

この教室の物はそこまで少ないわけじゃない。これを好きにしていいなんて…

そう言えば部室にも冷蔵庫とか置いてるし…て言うかこの部って顧問いたのか

冬馬の中で謎は深まっていった。

『よし、ここらでいいだろう』

『きたきた!早速つけようぜ』

『あれってストーブのことだったんですね』

『まぁまて、灯油は…十分だな。じゃあ、点火!』

3人がストーブでワイワイしていたが冬馬はそれよりも気になることがあった。

『優斗先輩、この部の顧問って誰なんですか?』

『あれ?知らなかったっけ?校長先生だよ』

あ〜…通りで結構好き勝手出来るわけだ。

合点がいくと同時に謎も増えた。

『この部ってどうやってできたんですか?』

『この部は琢磨くんが作ったんだよ〜』

『5人いないと部にならないはずなのにどうやって…』

優斗先輩はにっこり笑い人差し指を口元に置き『ひ・み・つ♪』とささやいた。

あれ?部長ってもしかして凄い人だったりする。

冬馬の中でまた一つ謎が増える。

部長の方を見るとまた変なことを言ったのだろう、杏果さんに襲われている部長の姿があった。

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