第27話 三章◇ありがちな最強の聖霊と聖獣 04

いきなり聖獣を紹介すると言われて、寝起きの頭がショート寸前だ。

なんで、どうして、そうなった!?

昨日『神の祝福』を済ませたばかりのはずで、昨日は神様全員と会って、過去を思い出させられて、加護の押し付けに合いそうになって、結局ライトニングから加護をもらって、えっと、それで……?


「え、あ、はぁ……?」


状況が飲み込めないまま、両親は揃ってにっこりと笑い、告げた。


「契約に従い、顕現せよ──天秤宮ライブラ


「さぁ、お仕事の時間よ──獅子宮レオ白羊宮アリエス


ふわり、と書斎の空気が上昇した。

まさに、魔法。

目の前に広がった光景は、前々世の私が憧れ、前世の私が触れてきた魔法、そのものだった。

文言を告げた両親の足元に、白く輝く紋様が浮かび上がる。それは光を放ちながら浮かび、空中に同じ紋様を映し出した。


そして、紋様からが現れる。


「来たわよ、クロウ」


「呼んだか、主様あるじさまよ」


「おっしごと、おっしごと〜!」


虚空に姿を表したのは、だった。

鷹っぽい、黒と赤の艶やかな羽を持つ大きな鳥。金のタテガミの立派な白金のライオン、そしてもふもふと白い毛を揺らす星柄のついた羊。

──動物園かな?

なんか、神話にあった『神様の手足として』って、もしかしてペット的なアレなんじゃ──


「君たちに紹介するよ。我が愛しの娘をね」


父様のその言葉で、三人──三匹?が、こちらを振り返った。

じーーっ、と見つめられる。


「あっ! あ、は、初めまして! サラ・アステリア・メルディロード、です……?」


こ、これで合っているのだろうか。

じーーっと見つめてきていた鳥──父様が呼んだ、おそらく天秤宮ライブラ──が、ハッと呆れたようなため息を

ついた。


「全然、クロウに似てないわね〜。興味ないわ」


バサバサ、と手を振るように翼を振って、そういった。

ぴしりと部屋の空気が凍る。


「……そうか。なら君に用はない。帰れ」


「えっっっ!!」


凍った空気の大元、父様が天秤宮ライブラに向けてそう吐き捨てた。

天秤宮ライブラは予想外だと言うように大きな声を出して固まる。

固まった天秤宮ライブラに興味がなくなったというそぶりで、父様はこちらに寄って私の頭を撫ぜる。


「ああごめんねアリス。嫌な気分にさせた──いや、嫌なことを思い出させてしまったかもしれない。本当にすまない。まさか天秤宮ライブラがこんなにも頭が悪いだなんて……」


「ま、待ってよクロウ! アタシ、何も間違ったことなんて──」


「黙れよ天秤宮ライブラ。もう君に用はないと言っただろう。とっとと帰るがいい。」


「そ、そんな……」


威圧感を隠しもせず、父様は聖獣の天秤宮ライブラを睨みつけた。

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