第10話 いろいろな角度から男女平等を考える

 やあ、おいらです。休講が続いて悪いね。でも、授業料の払い戻しはないからねって、誰も払ってないじゃん。払えよ!


 先日の森喜朗の「女性蔑視」問題。彼の失言癖を差し引いてみても、実はある一定以上の年齢、かつ社会的に高い立場にいる男性の心には少なからず、女性蔑視の気持ちがあるんじゃないかと思うんだよね。それは、日本人の歩んできた歴史というか遺伝子が現代人、特に中年から高齢層に根付いてしまっているからだと思う。

 具体的に言えば、縄文人は狩猟をしていたでしょ。当然主力は男だね。弥生時代、稲作が始まっても大地を耕すなどの力仕事は男の仕事だね。

 国家の原型ができて、女性である卑弥呼が邪馬台国を支配していたように感じるけれど、これは神秘的な象徴であって、実際の支配は弟がやっていたと思われる。

 大和朝廷が完成して以降も天皇の中心は男性で、ときおり女帝が生まれることがあるけれど、あくまでも幼い皇子が成長するまでの中継ぎとか血縁上実力者の裔だからという理由であって、実際の支配は縁戚の男性であると思われる。

 さらに、武家政権の時代になったら権力なき天皇には女帝が生まれても、実権を握る将軍に女性はいない。ちょっと端折るけど、帝国陸軍にも海軍にも女性将校なんているはずもない。そういう男性上位の国だったわけだ、日本という国はね。


 さて、視点を思いっきり変えよう。おいらは生物学者ではないけれど、その手のテレビ番組を観るのは好きだ。で、昆虫の世界ではメス上位のものがあるよね。アリとハチだ。どちらも女王が全てのハタラキアリやらハタラキバチの卵を生む。オスはそのための交尾しか役目がない。ハタラキアリやハタラキバチは全てメスだ。オスはどうして生まれるのかはゴメンわからない。そして次代の女王を作るため、選ばれた数個の卵にはプロポリスなどの特別な栄養を与える。新女王は最初に孵化したものがなり、その最初の仕事は残りの女王候補を殺すことだ。


 一方、ライオンは群れを作るが、オスライオンは通常狩りをせず、メスライオンたちが獲物を殺し、最初に食すのはオスライオンだ。まさにライオンキング、王様気分だが、若くて強いオスライオンがキングに対決を挑み、負ければただの老ぼれたはぐれライオンになるという末路に至る。


 なんだか趣旨と違うことを語ってしまったきらいがあるが、言いたいことは生物によってオス優位、メス優位は違うということである。

 人間の場合、肉体において男女は全く違う。女性には本能として次世代の人間を出産するという使命がある。かつてはそれができない女性はある種、酷い疎外を受けてきた。しかし、現代では女性も社会に進出し、男性同様、あるいはそれ以上に成果を出している。そういう時代に出産、育児は仕事の足枷になってしまう。それを解消するためには男性が家事、育児を50%以上協力しなければならない。家事、育児はもはや女性の専権事項ではない。出産しないぶん、男性の比率をあげてもいいくらいだ。

 ところが、社会の上層部はいままでの感覚でいる。森喜朗のように口が軽くないから言わないだけで、『女性蔑視』をしている人間も相当数いるだろう。だって、少子高齢化社会だもの。


 極論だが、全ての子供を『試験管ベビー』ではないが、人工の子宮で育て、誕生させるという方法にして、女性から出産という重労働を無くしてしまわなければ、真の男女平等はなしえないかもしれない。だが、そうした時、親子の愛情はどうなってしまうのだろう。おいらは子供がいないからわからない。いれば、虐待などせず、可愛がれた自信はあるのだけどねえ。

 あら、結論が出なかった。塾生諸君、皆で答えを出してくれたまえ。


 ではまた。気が向いたら。

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