2月5日 眼科にて

昨日、眼球に注射してきました。一般的には「加齢性」という言葉が付く病名ですが私はちょっと特殊な事情がありまして、注射をすることになったわけです。いや、若いと言いたいわけではありません。事実若くないので……。


注射自体は数秒で終わりました。その後10分くらい目を閉じて診察台の上でじっとしているように言われました。そこの眼科の副院長先生が母くらいの年齢の優しい女の人で、「大丈夫?」「気分が悪かったら言ってね」「あと5分ね」などと声をかけてくれていました。


「トイレは大丈夫?」


という先生の声の後で


「……は、いん…に」


低い声でぼそっと呟く声が聞こえました。女の人の声だったので、先生だろうと思ったのですが意味がよく分からなかったのでとりあえず「はい、大丈夫です」とだけ答えました。

するといつもの明るいまろやかな声で「はあい、じゃあもうちょっと目つぶっててね」と返ってきました。やっぱりさっきの声は先生ではないようです。先生の他にもう一人いたのでしょうか。目を開けると先生しかいませんでしたが。


その後もう一度診察があり色々と説明を受けてから帰宅しました。注射自体は痛くなかったのですが、目薬をさすとちょっとひりひりします。


あまり目を使わないように、この日はいつもより早く就寝。


翌朝、着信の音で起こされました。注射をした方の目は違和感があり半分目を閉じたままだったので誰からかかってきたのかも確認せずに電話に出ました。


「……は、いんだきに」


低い、女の人の声でした。それだけ言うと電話は切れてしまいました。


二度寝から起きた後番号を確認しましたが、見慣れない市外局番でした。

088

何だったんだろう。

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