手取り14万で気弱い私が傲慢系皇女VTuberを演じて,成りあがって行く予定です  

最近、無能ナナに、ハマっているもそ

ねじ曲がった願いによって生まれたV

私はロングケープアイランド王国の第3皇女~スタンフォード・アリア~。


――女子中学生のような体型で金髪のカールがかかっており、目はサファイア色で鋭いキツネ目である。白いゴージャスなドレスを着ており、わがままだと執事たちを悩まされる傲慢な皇女


 


これは私が演じる予定のVの設定であり、こういう人物になりたいという願いである。


 


ファンタジー物の作品をあまり読まない私にとって、


皇女は高貴で輝かしく、人々から羨望の目で見られている存在と思っている。


いわゆる女性なら一度は夢を見たいステータスだ。


 


リアルでは・・・


カースト制度の下の方にいる。


どんなに理不尽な指示、見下される目線なども気が弱いため覆すことはできずにいる私。


――ステータスが低めの私は自己肯定もあまり行えておらず、気が弱いからそれを望むのだ。


だから、その願いは私が一番強く持っていると思う。


 


願いを少しでも叶えるために、


ネット上だけでもカースト制度で一番上の皇女を演じてみたい。


特にわがまま皇女を選んだのは、わがままなやつに理不尽な絡みをされて、ねじ曲がってしまったのだ。


気の弱くて、ねじ曲がった自分を忘れたかった・・・


 


――しかし、そんなにひねくれた願望のみでVになろうと思うのだろうか。と正しくあろうとする自分もいる。


もしかするとそういった需要を持った人を救いたいという思いもかすかにあるのかもしれない。歪んだ経験を歩んだ私ならやりきれる自信はあった。


 


まさかね。私の場合はそんな善意なんてなくて、ねじ曲がった願いの方が強いと思うんだ。


 


その願いの強さの証明として、


Vデビューには普通10万から15万くらいで行うが、


私の場合は狂ったような大金である100万をかけている。


 


~Vになるための内訳~


〇イラスト:18万


イラストに関してはわがままさと可愛さの両立にこだわっており、自分の好きなツイッターフォロワー5万の絵師さんに依頼しており、リテイクを10回ほど出している。


 


〇Live2Dモデル:7万


笑顔のモーションよりも見下すモーションに力を入れてすぎて、モデラーさんに少し引かれてしまった。一連のモーション+見下すモーションで、表情は豊か。


 


〇ゲーミングPC:25万


 


〇マイクなどの機材台:10万


ASMRの配信も行っていきたいから、高級なマイクなどの音声機材は一通りそろえている。


 


〇防音関係:13万


もちろん、騒音問題対策である。


小型の電話ボックスみたいなだんぼっちの中で配信を行う予定だ。


念のために、だんぼっちの壁には吸音材を張り付けている。


 


〇ボイトレ系:7万


3か月間、ボイトレトレーナーに訓練法・歌・演技の指導や声質の評価を行ってもらっていた。


時たま、有名な役者・歌手にも指導をしていただく機会も作っている。


今も、だんぼっちの中でボイトレを毎日行っている。


 


〇歌ってみた系のMV(ミュージックビデオ) 5本:20万


ツイッターや生配信で気に入ってもらった視聴者を引き留めるため、自分のチャンネルの動画のトップにかなり力を入れたMVを置いてある。


普通は自己紹介を置くだろうと突っ込まれそうだが、自己紹介動画は自分が編集しており、クオリティーは高くないためである。ちなみに自己紹介は凝った編集を加えたくなく、素朴な傲慢な皇女を見せたいと思っている。


自己紹介動画はMV欄の一つ下に置いてあり、


MVを気に入った猛者がさらに中毒にさせるための物にしている。


プロの絵師や動画師さんに依頼しており、有名歌い手のMVと変わらないクオリティーである。私の歌唱力は皆無だが、MVの凄さに騙されるだろうと私は思っている。


 


 


100万という資金をかければ、チャンネル登録者数1万超えるだろうと考える人も多くいるだろう。


結論から言うと、V以外の効率的な方法なら1万人なんて簡単に超えると思う。


YOUTUBEの個人勢Vは下降トレンドであり、顔出し系や考察系の方が伸びるのである。


しかし、私はわがままな皇女を演じたいと非効率的で傲慢な願いを持ってしまったせいで、


上記の動画をあげたいと思えない。


 


先ほども述べたように個人勢Vに対して、YOUTUBEという世界は甘くはないのだ・・・


上位10%のVが93%の視聴者を独占しているという驚愕な事実がある。


その上位10パーセントの正体は2大大手事務所のVであり、個人勢がそこに入る余地はないのだ。つまり、世間一般的なイメージのVは個人勢ではなく企業勢である。


大手事務所はVの投資額は100万なんて軽く越しているし、Vとしての実力・努力量も私より圧倒的に上だと思う。


 


強者に優しく、弱者に厳しいというYOUTUBEのシステム上しょうがない問題である。


YOUTUBEで検索機能を使って動画を見つける作業はほとんど行わず、YOUTUBEのトップのおすすめ欄に載っている動画へ視聴者は流れている。


トップのおすすめ欄はチャンネル登録者数1万人越えの人がほとんどで、5000人ぐらいの人がちらっと載っているくらいである。


私みたいな駆け出しがおすすめに乗ることなんて滅多にないわけ。


だから、底辺Vは使いもされない検索機能で見つけてもらうように願うしかないのだ。


ほかのVと同じであると、奇跡的にも検索で見つけてもらっても離れてしまうため、100万をかけると暴挙にでているわけだ。


 


Vの初期投資を100万かけており、私はお金持ちだと勘違いされていそうだけど。


実際の私は、デイサービスに勤めている手取り14万の薄給介護福祉士であり、お金はVにほとんど使っており、貯金も10万とギリギリの状態・・・


幸い借金を作っていないだけましであるが。


 


そのため、贅沢のある生活を送れていないのだ。


晩御飯は、うまい棒―とんかつ味―を潰した物をふりかけにしたご飯である。


―――なんだろうか。涙で味がしょっぱくなってしまう。


ちなみに、うまい棒の1本で3回分のふりかけ・・・


こんな貧乏飯なんて食べたくないよ。


 


そんな虚しい晩御飯を食べながら、MVの再生数を確認していた。


5本とも全て1000再生超えており、一番再生されているのは4000再生と思っていたより再生されていた。安堵により涙は出ておらず、ご飯の味はいつもよりしょっぱくなかった。


 


チャンネル登録者数とツイッターのフォロワーは見たら、涙でしょっぱくなりそうだったから見ぬふりをしている。


 


1時間前に確認したら、チャンネル登録者数は303人・ツイッターのフォロワーは512人で底辺Vと自覚してしまう数字である。


 


そう、今は我慢する時期なんだ。


自己紹介動画も上げたばかりで、まだ初配信すらやっていない。


実際、初配信も滑ると思うが・・・


最初の配信はおそらく0人だろうが、一か月後には1人くらいは常連になってくれるよ。


底辺の時は、じっくりと数字を伸ばしていこう。


1000人超えたらおすすめに少し載り始めて、視聴者数も雪玉方式で増えていく。


 


そんなに数字ばかり追い求めていたら、精神がおかしくなると思った。


そして、MVに書かれているコメントを見てみた。


 


水饅頭:声が素晴らしくて、ドMの私に刺さりますね。曲もダークな感じでいいですね。

 


かずや:いい声ですね。くぎゅ見たいですね。

 


水饅頭:今回もかわいい声で歌っていますね

 


かずや:いい声ですね。くぎゅ見たいですね。

 


直哉:声が素晴らしいです。AMSRを出してほしいです。

 


水饅頭:歌唱力がすばらしい。

この曲のサビは難しいんですけど、これを傲慢な皇女を演じつつ歌うのはすごいですね。


 


 


 


お褒めのコメントばかりで思わず口角が上がってしまう。


視聴者数をたくさん稼ぎたいけど、こういうコアなファンに太鼓持ちしてもらうのも悪くないと思えて来た。


まるで地下アイドルになった気分になって、ちやほやされているのではないかと筋違いしてしまい気分が高揚してくる。


特に水饅頭さんからの応援コメントがすごいわ。すべての動画にコメントしてくれるし、ありがたい。


少数精鋭の褒めてくれる視聴者が集まった国を作っていくと魂である田中瞳は無理やり奮起している。


 


初めての生配信を今からやるためには、気分は高めておかないといけない。


 

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