第8話 探索の結果

 学院から最も近いダンジョンは三時間で着く。実践訓練用に学院をダンジョン近くに作ったと言うのも有るが、近隣の町を併合して町を活性化するのが目的だった。

「オークは血抜きしておけよ、血抜きしないと味にえぐみが出るからな

「「「「「「「は~い」」」」」」」

 ダンジョンの成果はオーク六体、ミノタウロス一体、キマイラ一体。お肉好きの探索メンバーは喝采をあげた。宝箱はなかったがゴブリンたちが集めた錆びた剣などは危ないので回収した。イザベルの注文の品は取れなかった。今夜も新作魔法の餌食になる事が決定した。殺傷能力高めの奴。

「今日はお肉たっぷりのスープと生姜焼きですよ~」

「「「「やふ~‼」」」」

 パンも良いけど秦国からの輸入品である米も人気だ。温暖な気候なので二期作が出来るのだ。生姜焼きにコメはよく合う。学院生は百人強居るので大量にコメを炊く必要がある。三分の一がパンで三分の二がご飯と言う割合だ。

 イザベルの分は部屋に運んである。食堂で食べる事はほとんどない。図書館館長のミコレットは食堂で食べている。副理事長のルティアは食堂で食べる。イザベルはボッチ飯ではなく奇異な目で見られるのが嫌という理由だ。現在確認されている唯一のハイエルフだ学院生もその美貌に見惚れるのも分かる。分かるが性格は最悪だ。長い付き合いになるが可愛げがこっれっぽちもない、負けず嫌い、精神年齢が幼くすぐに拗ねる。未だに男女の関係になっていないのも要因の一つかもしれない。まあ、俺がモテすぎると言うのも原因なのだが……。

「イザベル、飯だぞ~開けろ~」

 しばらくして扉が開く。寝ていたようで髪に寝ぐせが付いてる。顔だけは良いんだよな顔だけは。スレンダーな体も風邪の時見たことあるけど。

「もうそんな時間……」

「徹夜明けか?」

「そう、面白い術式思いついちゃってノートに書き留めてたの……」

「昼夜逆転してないか最近」

「仕方ないじゃない。王立研究院で魔石の新しいアプローチが発見されて、こっちも画期的な魔法が必要なのよ」

「面白い術式を思いついたんじゃなくて必死に絞り出してたと……」

「うるさいわね、いちいち揚げ足取らないでよ! アンタはいつもいつも生意気なのよ! 私理事長よ、敬いなさいよ!」

「じゃあ、俺も労われよ! 三百六十五日休まず働いてる俺を労われよ!」

「アンタは私の研究成果を飲んだ、働くのは罰だから労わらくてもセーフだもん!」

「セーフとかアウトの問題じゃねぇわ! これから先もこんな感じで喧嘩し続けるつもりかお前!」

「私の研究成果返してよ、私より長生きになった責任取ってよ!」

 返せるもんなら返したいけど覆水盆に返らず、やっちまったもんはしょうがないだろ……。これから先もこんな風に喧嘩して終わるのかなぁ……。



 

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