24.「かぐや姫」の救世主だからや。by イルカ

 こんにちは、遊梨ユウリユウリです。

 ワタシは今、イルカちゃんと一緒に、お洋服屋さんにいます。


 イルカちゃんに、淡くてパープルの、今までよりちょっとだけ大人っぽい、18歳のイルカちゃんにふさわしい、あっまあっまのフッリフッリのドレス買ってあげています。


 ワタシは、いつも通り、に黒いカードをショップ定員さんに突き出してお会計をしていると、イルカちゃんが話しかけてきました。


 顔を真っ赤にして、耳まで真っ赤にして、ぽつぽつと話しかけてきました。


「あの……あのね。私、遊梨ユウリ↓にお願いがあるんだ。遊梨ユウリ↓にしか頼めないんだ」


 ワタシは「とくん……」としました。胸が「とくん……」としました。

 ワタシは、あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。


「なんやぁ……イルカちゃん。急に改まって」


 イルカちゃんは、スカートの裾を両手でつかんで、モジモジしながら言ってきました。


「あの……あのね。私、遊梨ユウリ↓と一緒にしたいことあるんだ。誰にも秘密だよ?」


 ワタシは「どくん……」としました。胸が「どくん……」としました。

 ワタシは、あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。


「なんやぁ……イルカちゃん。イルカちゃんがしたいことってなに?」


「あの……あのね。2人でしかできないこと。私と遊梨ユウリ↓、2人一緒じゃないとできないこと。2人でひとつにならないとできないこと……一緒にしたいな。私もまだ経験ないけど、初めてなんだけど……一緒に……したいな」


 ワタシは「どっくん……」としました。胸が「どっくん……」としました。

 ワタシは、あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。


「ワタシは、別にかまわんよ。イルカちゃんがしたいなら、ワタシも付き合う」


「じゃあ……今から、私の家にこない?」

「行く!!!!!!!!!!」


 私は秒で言いました。秒で言い切りました。すぐさまお店出て、すぐさまタクシー捕まえて、すぐさまイルカちゃんの家に行きました。タクシーの中、イルカちゃんとワタシは、ずっと手をつないでいました。恋人つなぎで、イルカちゃんのちぃちゃいお手てを「ぎゅ!」っとつないでいました。


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 ワタシは今、イルカちゃんの家に来ています。

 イルカちゃんのお父さんの書斎に来ています。


 書斎には、なんやでっかいまな板が置いてあります。タブレット? って言う、でっかいまな板が置いてあります。


 そんでもって、タブレット? は、お月様を写しています。

 あ! だぶん、今想像してるんとは違うと思います。お月様の地面を写しています。

 なんや、でこぼこしたお月様の地面を写しています。


 そんでもって、イルカちゃんの前には、なんや、車? みたいなんとか、犬? みたいなんとかが、タブレット? に表示されています。あと、なんやバスケットボール? みたいなんが表示されています。タブレット? の画面の中に表示されています。


 そんでもって、ワタシの前には、ロボット? が表示されています。

 なんや、めっちゃカラフルなロボット? が表示されています。

 黄、青、紫、緑、あと、ピンクやら、オレンジやら、抹茶色やら、なんやガチャガチャした色のロボット? が表示されています。


 ワタシは今、後悔しています。イルカちゃんが考えた、なんや変なゲーム? に付き合わされているからです。

 なんや、月面でロボットがバトル? する、なんや変なゲーム? に付き合わされているからです。


 ホンマは、こんなつもりではありませんでいた。

 イルカちゃんにロリータ服を買っている時は、こんなつもりではありませんでした。

 イルカちゃんと一緒に、タクシーの乗ってる時は、こんなつもりではありませんでした。

 恋人つなぎで、イルカちゃんのちぃちゃいお手てを「ぎゅ!」っとつないでいたときには、こんなつもりではありませんでした。


 ワタシは今、なんやイルカちゃんの考えたゲーム? に付き合ってます。

 なんや、車? と犬? とバスケットボール? と、ロボット? が戦うゲーム? 付き合わされてます。

 さっきから延々と、なんやわからんルール聞かされてます。

 ぶっちゃけちょっと気持ちが悪い早口で、延々となんやわからんルール聞かされてます。

 でも正直に言うと、どうせ、こんなことなんやろうなぁって思ってました。


 ワタシは、卜術家ぼくじゅつかです。


 世界最高の卜術家ぼくじゅつかって言われています。卜術ぼくじゅつ四千年の歴史の中で、史上最高の卜術家ぼくじゅつかって言われています。


 せやから知ってます。とっくの前から知ってます。


 イルカちゃんが、ワタシを恋愛対象として見てくれてないの知ってます。

 にお友達としてしか、ワタシのことを見ていないのを知ってます。


 ワタシのこと、大親友だって思ってくれてるのも知ってます。

 ワタシのこと、絶対の大親友だって思ってくれてるのも知ってます。

 ワタシのお願いを、いつも最優先してくれてることも知ってます。

 ワタシのために、ロリータ服来てくていることも知ってます。

 

 ワタシは、卜術家ぼくじゅつかです。だから、いっさいがっさいっています。


 毎日、イルカちゃんにおっぱいさわらしてあげて、灰汁あくを取り除いてるからっています。

 イルカちゃんは、ワタシのことにお友達としてしか、ワタシのことを見ていないのをっています。


 なんや、泣けてきました。悲しくなりました。

 ワタシ、なんでこんなにイルカちゃんのこと好きなんやろ。

 なんでイルカちゃんは、ワタシのこと好きになってくれんのやろ。


 実は知ってます。とっくの前からっています。


 ワタシが、ワガママだからです。どうしようもない、ワガママ女だからです。

 ワタシのワガママに、イルカちゃんに付きあってくれているだけだからです。イルカちゃんは優しいから、ワタシのワガママに付き合ってくれているんです。


 ワタシが、イルカちゃんを、まるでおもちゃみたいに、着せ替え人形みたいに扱ってるのに、優しい優しいイルカちゃんは、ワタシのどうしようもないワガママに、ずっとずっとヘラヘラ、テレテレして、付き合ってくれているんです。


 実は知ってます。とっくの前からっています。


 ワタシは、どうしようもない人間なんです。

 お金でなんでも片付けようとする人間なんです。

 人の心、お金で動かせると思っている、どうしようもない人間なんです。

 そんなどうしようもない人間に、イルカちゃんは、優しい優しいイルカちゃんは、ずっとヘラヘラ、テレテレして、付き合ってくれているんです。


 ワタシは今、泣いています。ワタシはワタシが大嫌いやから、ワガママで大嫌いやから泣いてます。コロコロとトーンの高い声で、イルカちゃんのぶっちゃけちょっと気持ちが悪い早口に、適当にあいづち打ちながらながら泣いてます。


遊梨ユウリ↓どうしたの?」


 しまった、泣いてるんばれてしもた。

 めっちゃ早口の時のイルカちゃんは、めっちゃ周りが見えてないから、めっちゃ油断しとった。泣いてるんばれてしもた。


 ワタシは、涙をぬぐうと、あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声で言いました。


「あ、ううん、なんでもない。なんやぁ? 。めっちゃ面白そうやん!」


「えへヘヘヘッへ、そうかな?」


 イルカちゃんは、ヘラヘラ、テレテレして、笑いました。

 でもって、ちょっとキリッとした顔して言いました。


「じゃあ、早速はじめよう」


「ええでぇ」


 ワタシは、あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声で答えると、おもむろにタロットカードを取り出しました。

 そしてタロットカードのお尻を「ていん!」と叩きました。


 タロットカードはのだいたい3分の2が、タブレット? の上に散らばりました。


「準備OKや! いつでもええで!!」


 ワタシは、コロコロと高いトーンの関西弁で答えると、イルカちゃんが考えたゲーム? に付き合ってあげることにしました。


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「すごい! 予想以上だ。いや、予想以上なんてもんじゃない! 完璧だ!!」


 一時間後、イルカちゃんは、震えていました。なんや興奮してブルブルと震えていました。


 ブルブル震えたイルカちゃんは、思いっきり駆け寄ってきて、転ばずにちゃんと駆け寄ってきて、ワタシの手を「ぎゅ!」としました。

 そして、これ以上ないくらい顔を近づけてきました。


 可愛い! めっちゃ可愛い! 可愛すぎて死ぬ! 


 可愛い可愛いイルカちゃんは、ワタシに向かって言いました。


遊梨ユウリ↓! 君はこっちの地球の救世主だ!!」


 ワタシはアホウなカザミドリです。アホウなことくことしか出来ません。

 だからきました。あくまでを装って、のんびりした高いトーンの声できました。


「そうなん? ……知らんけど」






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