チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也

第壱話 神様の失敗談がまた増えた

 看護師をしていた小鳥遊葵は、三十歳の誕生日に通り魔に刺され、人生を終えた。


「あれ、刺されて死んだはず、何で意識あるんだ。」


 気がつくと全てが真っ白な場所で目が覚めた。


「やっと起きたね。君は小鳥遊葵さんであっているかな?」


 誰もいなかったのに背後から男の声が聞こえ、振り向くと、美形な上に全身から光を放っている男が立っていた。


「眼福ぅ…… 小鳥遊葵であってます。 ここは何処ですか?私、死んだんですよね?貴方は誰ですか?」


 慌てて、問われた事に答えた。そして、こちらも矢継ぎ早に聞きたい事を問う。


「あぁ、よかった。以前に呼ぶはずだった人と違う人をここに呼んじゃった事があってね。

 あの時は慌てたよ~ まぁ、その人がいい人で異世界でちゃんとやってくれたから結果オーライってやつだったけどね。」

「でも、また別の時には大変だったな。異世界に転生させた後しばらくたってからわかったんだけど、地球で殺人を犯してた奴で、性格も最悪で、転生後も悪事ばかり働くから、プチっと魂ごと消滅させたよ。後処理も大変だったな~」

「それから前世の記憶消しちゃって、転生させちゃったり……」


 こちらの問いに答えないし、私が小鳥遊葵であっているとわかってから一時間以上も自分の過去の失敗談を語り始めるし、大丈夫かこの人……

 それにプチっと消滅させたとか怖いんだど……

 恐怖で顔がひきってしまった。

 異世界に転生させたって何だ? 何の説明もなく、語り始めて、理解できないワード言っているけど、小説によくある死んだ人が異世界に転生させられるアレか? 私も異世界転生させられるってことなのかな?


 呆れたり、恐怖を感じたり、疑問に思ったりしていると失敗談語りが終わったようだ。

 やっと問に答えてくれるみたいで話し出した。


「ここはね簡単に言うと神の部屋だね。そして僕がその神様。君の言うとおり残念ながら君は死んじゃっているよ。」


 やっぱり……死んだのか……

 それに一時間以上ずっと話せるくらい失敗ばかりしているみたいだし、話し方に軽い感じが見え隠れしているし、残念な美形が神様で大丈夫なのだろうか……


「あの神様。さっき語ってらした時に異世界とか転生とかって言ってましたが、それは私も異世界に転生することになるんですか?」


 異世界とか転生とか気になる事を気を取り直して神様に聞いてみた。


「うん。そうだよ。君にも転生してもらう。 あれ、君に転生とかの説明したっけ?」


 勝手に長々と失敗談語ってた時に出てきただけで、説明されてねえよと心のなかで毒づく


「異世界や転生の説明はされてません。以前の出来事を話されている時に出てきたので、気になったので質問しました。」


「そっか。さっきも言ったけど君に転生してもらうよ。記憶を残したままね。」

「君には、転生前の知識を使って、僕の創った世界に無いものを作ったりして世界を発展させて欲しいとはおもっているよ。まぁでも地球にない魔法とかあるから、僕の創った世界を楽しんで生きてもらえればいいかな」

「魔法は、ある程度使える体にしとくね。あと無限収納など空間魔法を使えるようにしてあげるね」

「時間あまりないし、さっさと転生しちゃおっか」


 あんたが長々と語ってたのがいけないだろうが~と心のなかで叫んでいると体が光だした。

 どんどん光に包まれ、やがてだんだんと意識がなくなっていった。


「あぁ、ヤバい間違えた」


 意識が完全に無くなる直前に神様の不安を感じさせる言葉が聞こえたが、私にはどうすることもできず、意識が無くなり転生された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る