第十三匹 鴨猟
「ヘカテリーナ、ここから静かに見つからないように行くぞ」
俺はそう言って、身を屈めて森のなかを抜けていく。
ヘカテリーナも俺の後を音をできるだけ出さないように追いかけてくる。
そうして、湖が一望できるところまで来ると、今回狙う獲物の姿を発見する。
「グエッ・・・グエッグェ・・・」
「グェーー、グエッグェ・・・」
「グエッグェ・・・グエッ・・・」
できるだけショウガモに目視されぬように、柴や木の陰に隠れながら、身体は低くして風下に立ち、音をできるだけ立てないようにして着々と近づいていく。
一方のショウガモは、無警戒で優雅に水辺を泳いでいる。季節はもう中秋であり、この頃のショウガモは脂がのってうまい。
そうして、芦が生い茂る場所に隠れながら、試作品のショットガンに弾を入れる。装填数は2発、さて・・・何羽、仕留めるかな。
そっと、芦の隙間から獲物の群れを確認し、おおよその狙いを定めて、立位になる。突然の俺の登場にショウガモ達は、驚いて羽根をバタつかせながら飛び立とうする。
その瞬間を逃すまいと、俺は弾を発射する。
ダァッン!!
初弾は、群れの中心に居た羽ばたく直前の二羽に命中。続けて、もう一発放てば、飛び立とうとしていた一羽に命中。他のショウガモ達は、音に驚いて急いでその場から離れるため、飛び立っていく。
空かさず、排莢してショットシェルをひとつずつ装填し再び構え、飛んでいくショウガモに狙いを定める。標的より少し上を意識して撃つ。
ダァッン!!
3発目は狙い通りに獲物の一羽は、致命傷になり落下していく。最後の一発は、その隣を飛んでいた一羽に狙って放つと、少し姿勢を崩しながら飛んでいくも、すぐに力尽き落下していく。
とりあえずは、今回はこんなところか・・・。しかし、ショットガンというものは、なかなか使いやすい印象を受ける。弾が拡散して飛んでいくので、狙いがつけやすい。
ただ、弱点として弾が連射数が少ないという点とすばやくリロードしてほしいというところは、改良してほしいところだ。
そう改良点を考えながら、ショウガモを回収しているとパチパチパチと手を拍手する音が後ろから聞こえてくる。すると、そこには目をキラキラとさせたヘカテリーナが居た。そう俺はずっと1人で狩りをしていた癖で一緒に来ていたことを忘れていた。
一方で、ヘカテリーナは
「すごいです。すごいです。初めてアキトさんの狩りを見たんですけど、すごいです」
そう言って、かなり興奮気味に僕を褒め称えるのであった。
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