第七匹 ピースメーカー
奴らが来たということは、今後も彼らからコンタクトがあるという知らせとなる。
だが、俺はいくらアプローチされようが、追放した奴らのことを許すつもりもないし靡く気すら起きないのである。
今回はなんとかうまく退かせることができたが、次、来るときはもっと大人数でやってくるであろう。
久しぶりにアレを使うか。俺はそう思い、倉庫の中からハンドガンを取り出す。
I&L.22LR model949のリボルバーだ。この洗練されたフォルム、このスマートな銃身、最高にクールだ。
これは俺が最初に手に入れた銃でまだ狩人として、一人前ではなく、ライフルが持てなかった頃にかなりお世話になった装備だ。主にノウサギやキツネなどの小型獣を狩るのに重宝した。
こいつは、狩猟目的のほかに護身用にも使える優れ物である。弾丸は、22口径用の.22ロング・ライフル弾、その他に特注の.22口径スタン・バレットがある。スタン・バレットは非殺傷用の弾丸だが、当たれば気絶するぐらいの威力はある。
「それじゃあ、明日は腕慣らしにノウサギ狩りにでも出かけようか」
と、言いながら俺はリボルバーを点検するのであった。
∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴
次の日、朝からのんびりと草原の中を歩いていく。今回の狙う獲物のウサギは野を走り回っているハラウサギだ。こいつは群れで行動しており、一匹見つけたら周りに5~6匹はいるほどの高い繁殖力を有する。
そして、他の動物と比べたら、警戒心はあまり高くない。だが、一度気付かれたらすばやい逃げ足を発揮する。この辺りのハンターでも一匹狩れたら良い方らしい。
俺も最初の頃は、狩るのに苦戦したものだった。だが、その経験により、狩りの基本を学ぶことができたのである。
そうして、ハラウサギの居そうなポイントへ移動していると、会いたくない奴らに遭遇してしまう。
「おや、アキト君じゃないか。愛用のライフルも持たず、こんな所で散歩かい? 」
そう言って、大嫌いな旅団の奴らが近寄ってくる。
「お前らこそ、そんな大勢な上に大層な装備で、これからダンジョンにでも行くのか? 」
俺はそう言い返す。すると、話しかけてきた男は、
「いや、今回は獲物を狩りに来たのさ。旅団長直々の指令で、俺ら高レベルの冒険者なら容易に狩れるだろうと白羽の矢が立ったのさ。すまないが、ここの狩り場の獲物は全部もらうよ」
と、旅団のダンジョン攻略組と数人の食肉調達班の奴らは、俺に対していばり散らしながら言う。
「狩れるといいな」
俺は奴らに嫌み交じりの言葉をかける。
「はっ、ほざいてろ」
そう言って、旅団の奴らは走り去っていくのであった。
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