ハイパーアルティメット狩人~仲間のために狩りしてたのに不要スキルだからと追放されたので、本格的に狩猟に専念したいと思います。えぇ?今さら肉不足ですか・・・雑草を食べればいいと思います

なんよ~

零発目 M+EAT

第一匹 退団勧告

 肉食獣は肉を食べているから食物連鎖の頂点に立っている。つまり、肉は最強食物であり強さになくてはならない必須要素ということが証明される。



∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴



 「アキト、お前のスキルは集団戦闘向きじゃないから、この旅団から出てってくれ」


それが、自分が在籍する旅団が下した決定だった。俺はその言葉に唖然とする。


「はぁ? 」


ちょっと、状況が飲み込めない。そんな俺を無視して、嫌みな旅団長が話を続ける。


「お前のスキル【狩人】は正直言って、俺たち旅団では不必要で足手まといなんだ。魔物との戦闘じゃお前は役に立たないし、はっきり言って迷惑だ。お前の攻撃は、集団戦闘を主とする旅団には不向きすぎる。お前の持ってる鉄砲って名前のだっけか? いつも射線に味方が入って撃てません。って言うばっかりじゃないか」


「で、でも、今まで食料調達とかで貢献してきたじゃないですか。それでもこの旅団から追放なんですか」


嫌みな旅団長はご自慢のひげにさすりながら、


「嗚呼、戦えない奴を養うほど、この旅団は優しくないからな。それに食料調達係なんて他にいくらでもいる」


そう冷たくあしらう。前からこの旅団長は好かなかったが、今回は誠に斃してやりたい。だが、その感情に流されてはいけないと律しながら、俺は交渉する。


「そういえば、退団する者には退団金が出る話でしたよね。もらえますよね・・・? 」


俺はそう正当な権利を主張するが、旅団長は態度を一変させて


「出るわけないだろ。それは旅団に多大なる貢献をしてきた者が受け取るものだ。まぁ、追放だけで勘弁してやる。さっさと出ていけ」


そうバッサリ切り捨てる。その言葉に頭に血が上る。嗚呼、この旅団糞だわ。やめてやるわ、この言葉を以って俺はこの旅団を切り捨てることを決意する。


「そうですか、今までお世話になりました」


俺は最後まで大人な対応をしてその旅団を脱退するのであった。




∴ ∴ ∴ ∴ ∴ ∴



 荷物をまとめて、哀愁漂わせながら本部を後にする俺。その光景を共に過ごしてきた仲間は軽蔑したような目で見る者、嘲笑う者、あまりいい気分はしない。


そうして、旅団本部がある城下町から出て、まっすぐ郊外の森へと足を進める。人を寄せ付けない森の中には、密かに作っていた簡素な隠れ家あり、俺はそこに帰宅する。


ものすごく満面の笑みで。


「やった。やった。やった。いやぁ~~~、グッドタイミングだわ」


先ほど、旅団を追放されたばかりだというのに俺は鼻歌を歌いながら、装備の手入れをし始める。


それもそのはず、俺が旅団に所属していた理由は、所属しているだけで近隣での狩りが自由に行えていたからだった。ここらを治めている前国王は、大層な狩猟好きで無許可で狩りを行うことを法で禁止していた。


だが、その前国王はつい2週間前、死去してしまった。そして、その後を継いだ1人娘だった女王は狩りに興味がなく、その法を改正して自由に狩りをしていいことになったのだ。


まぁ、つまり、旅団にいるメリットがなくなったというわけだ。いやぁ~~~、グッドタイミング。旅団を自主的にやめるとなると、いろいろ手切れ金とか払わなきゃいけなくて、めんどくさかったんだよなぁ・・・。まぁ、やめれたからどうでもいいけど。


それよりも、旅団は大丈夫だろうか、多分だけど毎日の食事大丈夫だろうか。俺が毎日、狩ってた獲物の肉を食べていたから、これから味気ない食事になって、栄養偏りそう。


それはそうと、これから楽しい狩りが出来そうだ。なんたって、旅団から解放されて自由になったのだから、もう狂うほど狩りを行ってやる。


これから、秋だから獲物は脂肪をつけてうまくなるぞ~~。へへへ、楽しみだぁ~。そう思いながら、レッツ、エンジョイ、ハンティングライフ!


そう思いながら、装備の手入れをしていくのであった。

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