頑張れ先生!ユニガン学校!職場見学

@Corn-Sabotage

第1話 導入、お人好しとの出会い

 ユニガンにて、ぶつぶつと呟きながら右往左往している女性がいる。彼女はユニガンにある小学校の教師をしている。生徒は10 人程度と少ないが、皆が元気で良い子たちばかりだ。だからこそ、彼女は彼らが楽しい時間を過ごせるように悩んでいるのだ。

 魔獣によるミグランス城襲撃、結果としては人間の勝利に終わったがその爪痕は大きく残っている。ミグランス城は再建途中であり、王も宿屋に拠点を移している。今は元のミグランス城やピリッとしてしまったユニガンを戻す為に忙しい時期なのだ。

 彼女の小学校は例年ミグランス城への職場見学を行なっている。今年は場内の見学に加えて、ミグランス王による講演と非常に豪華なものとなっていた。300年という節目の建国祭、この記念ということもあって計画できた豪華な内容であった。これが魔獣による襲撃で中止になってしまった。王様は講演だけでもと時間を確保しようとしてくれたが、彼女は生徒たちと話し合い、断ることにした。王の言葉は人々の活気にもつながる。その声は職場見学をする余裕のある自分たちではなく、襲撃で深刻な問題を抱えてしまった人たちの為に使われるべきだと考えたのだ。

 生徒達も納得しているが、襲撃に加え、職場見学中止の悲しみが0だというわけでは無い。幸い、その予定日にまでにはまだ時間がある。教師である彼女は、その悲しみを生まない為にも新たな職場見学先をさがしているのだ。しかし、生徒や自身に縁がある場所を探すも中々見つからない。ウロウロしながら彼女は悩んでいた。

「どうしたんだ?何か困りごとでもあるのか?」

 そう呼び止める声がして振り返った。そこには“アルド”と名乗る何とも人の良さそうな青年が立っていた。


 

 ユニガンを歩いていると水のプリズマ辺りに悩んでいる女性がいた。

「どうしたんだ?何か困りごとでもあるのか?」

 思わず声をかけてしまった。こんな風に声をかけるからエイミにお人好しなんて言われるんだろう。

「私は教師をしているんですけど、先日の襲撃でミグランス城への職場見学が中止になってしまったんです。そのため、子どもたちの勉強になりそうな場所を探しているんです。」

 ユニガンに学校があったことに驚きながらも、女性の悩みについて考える。自分とフィーネが幼い頃にヌアル平原にあるミグランス城、強く興味を惹かれたあの建物で王様と会えるのだ。生徒達は大きな期待を抱いていただろう。さらに、講演も他の人を思いやった結果断っている。その期待や優しさを思うと、なんとか助けになることができないだろうかという気持ちが湧いてくる。

「生徒たちも職場見学が出来ればうれしいだろうし、俺も新しい場所探しを手伝うよ。」

 自然と口からそんな言葉が出ていた。彼女はユニガンに住む教師だが、自分は冒険者だ。冒険者目線での馴染み深い所によい職場見学先があるかもしれない。

「ありがとうございます!」

 教師は嬉しそうな顔で言い、このプリズマ前で再び集合する約束をした。

 バルオキーや、リンデ、ホライなども思い浮かぶが、近場から探そう。

「まずはユニガンの中で探してみるか」

 そう呟く。何処かで始まりを告げるかのような音が聞こえた気がした。


「ありがとうございます!」

 このアルドさんは本当に親切な方のようだ。見ず知らずの私の手助けをしてくれるのだ。

 集合場所と時間を決めた後、町の職人さんらに声をかける為、アルドさんと離れる。

 生徒達がこのアルドさんのように親切で優しい方になって欲しい。そう思いながら、ユニガンを歩く。


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