第6話 仮入部期間開始


 



 今は6限目のホームルーム。


「さて、今日から仮入部期間が始まります。クラブの入部を希望する人は、それぞれのクラブの活動場所に行ってください。活動場所は今から配るプリントに記載しています」

 そう先生から説明があり、


 ついに……!!

 仮入部だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


 と、心の中で叫ぶ。


 ほんとに叫んだら今度こそ俺のメンタルは死ぬ。

 朝の時点で90%ほどはすでに崩壊済み。

 遅れずに来たら済む話だが。


 そんなことを考えているうちにプリントが配られ、説明があり、ホームルームは終わった。

 バスケ部に関係しているところ以外は上の空で聞いていたが。

 バスケ部は専用体育館で練習するらしい。


 そして、放課後へと突入する。

 俺は教室を飛び出すと、説明通りにバスケ部専用体育館へと走った。

 息を切らしながらたどり着いた。



 俺は学習しない男だ。

 またしても体育館の鍵は空いていない。


「あー……またか……」


 要は早く来すぎるのも問題だと言うことである。



「おうおう、やっぱ早いな。やる気バッチリだな」

 植原先輩がやってきた。

「こんにちは。鍵開いてなくて……」

「わーってるよ。鍵持ってきた」

「ありがとうございます」

「さ、入るぞ」


 体育館に入ると制服からtシャツ&バスパンに着替えた。

 後からプリントを見たところ、本当は割り当ての教室で着替えなければならなかったらしい。

 ま、いいや。


 そんなこんなしていると、続々と先輩たちがやってきた。中には知らない先輩もいた。それでも11人だったので、頑張って顔は覚えた。今日は2人が用事、体調不良でそれぞれ休みらしいのだが。


 先輩たちは入ってきた途端に、「何でこんな早く新入生が来ていて、しかも植原(先輩)と仲良さげにしているのか」と言う疑問を浮かべていたが、俺と植原先輩で説明をするとすぐ理解していた。俺がなぜ入学式の日にバスケをしていたのかと言うことについては納得してくれない人もいたが。ちょっと反省。また、新入生にはいろいろ聞かれると困るのでくれぐれもこのことは内密にとも言っておいた。


 それから俺は先輩たち一人一人に挨拶していった。

 つ、疲れる……。


 しばらくすると、新入生もだんだんとやってきた。

 見られたが、多分ちょっと早く来てる奴、とだけしか思われてない。はず。大丈夫。


 その時だった。よく知ってるやつが体育館に現れた。


「こんにちは!」


 ん?この声は……!?


 武田だった。そう、現在同じクラスで、中学から一緒のあいつ。


「よっ」

 近くまで来ると、肩を組んで言ってきた。


 …………。


「よっ」じゃねぇわこのやろう!

 来るのなら言えよ阿呆!!



 結果、新入生は16人やってきた。

 先輩たちによると毎年複数人はやめていくらしい。

 いったいこの中では何人が残るのだろうか……。


 全員が体育館の中央に集められ、オリエンテーションが始まった。

「俺が主将の河田だ。みんなよろしく。うちのチームは全国優勝を目標に––––––––––」

 河田先輩が挨拶をしている。全員が体育座りをして聞き入っている。

「俺が副主将の植原だ。よろしくな。毎年何人も辞めていくが–––––––––」

 と、植原先輩が続く。


 今度は新入生が挨拶する番だ。座っている順に挨拶の順番が回っていく。

 俺は割と後ろの方に座っていたので、最後の方となった。

 しばらくして、順番が回ってきた。

「えー、伊織英太郎です。168cm 60kgです。ポジションはシューティングガードで、ロングレンジのシュートが得意です。これからもっと自分のプレーをよくしていきたいです。よろしくお願いします」

 次は俺の隣に座っている武田の番だ。

「武田快斗です。170cm62kg、ポジションはスモールフォワードです。中学校の時は部活ではなく東川島ソニックスってクラブチームでやってました。よろしくお願いします」

「!?ソニックス!? そうかそうか……!」

 河田先輩が驚いているんだが、


 いや、ちょっと待って。ちょーっと待って。今すぐ武田を体育館裏でしばき倒したい。

 は!? ソニックス!? ふざけんなこら! 武田バスケやってるなんて言ってなかっただろうがぁ!? 聞いてねえわど阿呆!! 聞いてねえから知らなかったわ! それじゃあ体育のバスケの授業では手を抜いてやっていたと!? 俺がバスケやろうってさそった時に「んー、俺バスケはちょっと・・・」って言ってたのも全部嘘か!? ふざけんじゃねえー‼︎

 よくよく考えたら武田オフの日に遊びに誘ったのにノってこなかったけどそういうことだったのか!? 練習あったから!?

 ソニックスってめちゃめちゃ強いところじゃねえか!!!! 金かかるから俺ん家は諦めた!

 まじふざけんなよ!

 よし、決めた。明日武田シバく。


 ……と、ひとしきり胸中で喚いておく。

 喚きつつギロリと武田を憎悪の目で睨んでおく。

 ……気付けぇ!! こっち向けぇ!!!!


 ……はい。情緒不安定気味です。

 自覚は一応あります。


 自己紹介が終わると、部活の説明に移る。

 練習はほぼ毎日あるらしい。

 持ち物やその他諸々の説明が終わり、オリエンテーションが終了する。


「新入生のスキルも見たいしな……。よし!! 新入生!! 試合するぞ!! 新入生同士で!! 二、三年生!! ビブスの準備と審判とタイマー、誰かしとけ! 新入生! チーム決めとけ!!」

 河田先輩が言った。

 いやー、さすが主将っすね。指示が速い。すごいなぁ……。


 ってかまじか。まさか1日に2度もチーム内のゲームをすることになろうとは……。

 嬉しいんだけどさ。


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