第3話 5対5①




「時間もねえし、さっさと始めるぞー」

 動揺を落ち着ける暇もなく、ゲームの準備をする。


「遅くなってすみませーん!」の声とともに体育館にやってきた三年生の男子マネージャー、野口仁のぐち ひとし先輩に、ゲームをすることを伝え、時間や点数の仕事をやってもらうことにする。


 数人の先輩たちはビブスを、俺はボールとブザーを持ってコートに向かった。野口先輩はセンターラインの近くにある電光タイマーのおいてある机に向かう。


 このゲームはあまり時間がないので、10分+10分の合計20分で行う。


 チームはあみだくじで次のように決まった。


 ビブスありチーム

 筒井亮斗(つつい りょうと) ビブスNo.4 ポイントガード 三年

 谷口陽介(たにぐち ようすけ) ビブスNo.5 シューティングガード 二年

 植原勇也(うえはら ゆうや) ビブスNo.6 スモールフォワード 三年

 相川傑(あいかわ すぐる)  ビブスNo.7 パワーフォワード 二年

 夏川慎太郎(なつかわ しんたろう) ビブスNo.8 センター 二年


 ビブスなしチーム

 木下康生(きのした こうせい)  ポイントガード 二年

 江川広(えがわ ひろ)      シューティングガード 三年

 上島航平(うえじま こうへい)  スモールフォワード 三年

 河田明人(かわだ あきと)  パワーフォワード 三年

 平塚吉晴(ひらつか よしはる)  センター 二年


 審判

 俺


(個人のデータは前話に書いておりますので、万が一前話をお読みにならずに今話を読んでおられる場合、前話をお読みになられてから今話を読んでいただけると、より分かりやすいかと思います。また、今話ではビブスありチームの人の名前の後に、「ビ」と書きます。点数は、00−00で、左がビブスなしチーム、右がビブスありチームの点数とします。)


 早速先輩たちがセンターサークルのあたりに集まってきた。

「「お願いします!」」

 一応挨拶をすると、先輩たちはそれぞれポジションを取る。


 俺が真上へボールを高くあげる。

 ジャンパーは河田先輩と夏川先輩ビだ。


 身長で有利だったか、ボールを弾いたのは夏川先輩ビ。

 ビブスありのチームからオフェンスが始まる。

 筒井先輩ビがボールを運ぶ。

 ビブスなしチームはハーフコートのディフェンス。


 右のコーナーにいた植原先輩ビに筒井先輩ビからのパスが飛ぶ。

 上島先輩がワンアームの間合いで植原先輩ビをディフェンスする。

 植原先輩ビと上島先輩が睨み合う。

 俺のところまで気迫が伝わってくる。


 先に動いたのは植原先輩ビだ。

 鋭く左方向へドライブし、あっという間にゴールに迫る。

 ローポストにいた河田先輩がカバーに入る。

 植原先輩ビがミドルシュートをフェイダウェイ(後ろに飛びながら打つシュート)で打つ。河田先輩はシュートブロックに跳んだが、ボールには届かない。

 パサッとボールがリンガをくぐり抜けた。

 ここまでで12秒。電光タイマーについている点数カウント機能の表示が

 00ー02と光る。


 ビブスなしチームの河田先輩がエンドラインから木下先輩にボールを渡し、試合が再開する。

 ビブスありチームもハーフコートでディフェンスをする。


 木下先輩がダム、ダムと規則正しくボールを突く。トップに着くと、筒井先輩ビがキュッと木下先輩との間合いを詰める。

 次の瞬間、木下先輩はディフェンスしていた筒井先輩ビをチェンジ・オブ・ペース(ドリブルしながら突然ペースを変えること。抜くためのテクニック。)で抜き去った。そして、ローポストにいる河田先輩の頭上にパスを出した。


 俺は思わず叫んだ。

「まさか、アリウープ!?」


 河田先輩が空中でボールを掴み、そのままリングに叩き込んだ。


「す、すげえ……」

 目の前で見せられたとんでもプレイに俺はただただ驚いていた。


 これで02−02。


 しかしビブスありチームは動じない。

 エンドラインから相川先輩ビがボールを谷口先輩ビに渡し、谷口先輩ビがもう走っていた植原先輩ビにロングパスを出す。受け取った植原先輩ビはそのまま右レイアップ。


「は、速い……!」

 ゴールするまで約5秒。


 02−04と表示が変わる。


 エンドラインから平塚先輩が木下先輩にボールを渡した。

 ビブスなしチームも淡々としている。


 江川先輩にボールが渡る。

 江川先輩はスリーポイントシュートを放つ。

 綺麗な放物線を描き、ゴールに


 入らなかった。リングに当たってボールが跳ねる。


 直後、ゴール下では戦いが始まる。

 平塚先輩と相川先輩ビが、河田先輩と夏川先輩ビがそれぞれボールを自分のものにするべく体をぶつけ合う。ボールは河田先輩たちの方向に跳ねた。

 戦いに勝利したのは夏川先輩ビだった。夏川先輩ビはボールをしっかり保持すると、走り始めていた谷口先輩ビにパスした。谷口先輩ビはそのままゴールに走り、レイアップを打った。


 02ー06。


 この速攻を皮切りに、ビブスありチームに有利な状況が続いた。


 そして、しばらく時間が経つ。


 開始6分後、残り4分時点で点数は

 10ー18となっていた。


 たった今、植原先輩ビがスリーポイントシュートを決めた。


 10ー21。


「く、くそぉぉぉ!!」

 河田先輩が叫びながらエンドラインより木下先輩にパスを放る。


 左コーナーにいた上島先輩にボールが渡る。


 植原先輩ビがしっかりマークする。


 上島先輩がシュートフェイクを一つ入れた。植原先輩ビが反応し、その瞬間右ドライブで抜き去ろうとする。しかし、植原先輩ビは予測していたのか後ろに少しジャンプしてドライブに備える。刹那、上島先輩は体勢をシュートモーションに切り替え、フェイダウェイでスリーポイントを打つ。植原先輩ビはシュートブロックしようとしたが届かない。

 ボールは綺麗にスウィッシュでリングに吸い込まれた。


「なにぃ!?上島……!?」

「フェイダウェイのスリーポイントも打てるようになりましたっすよ。」


 13ー21。


 植原先輩ビはエンドラインから夏川先輩ビにボールを渡し、リターンパスを貰う。

 植原先輩ビはスピードを上げ、そのままゴールに突っ込む。そして、左レイアップを打つ構えをする。

 平塚先輩がシュートブロックに跳ぶ。

 しかし、植原先輩ビはボールを右手に持ち替えると、右手でボールを放った。


「ダブルクラッチ……!」

 あまりに綺麗なダブルクラッチで、俺は知らず知らずのうちに声を漏らしていた。


 13ー23。

 残り約3分。


____________________________________


読んでくださりありがとうございます。思いのほかバスケシーンを書くのが大変で、読者の方になるべく分かりやすい文章を心がけていますが、まだまだ初心者ですので、ヘッタクソな文章であります。もっと良くしたいと考えているので、感想やアドバイス、質問やご意見などいただけると嬉しいです。

厳しい意見でも大歓迎です。

今後ともよろしくお願い致します。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る